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「相続民法と相続税法」の違いについて!

目安時間 8分

こんにちは、相続アドバイザーでFPの塩川です。

 

今回は、「相続民法と相続税法の違い」についてです。

 

相続には、民法と税法で2つの法律があります。

 

民法は相続や贈与に関する権利関係を定めているのに対し、
相続税法は、税額計算、課税の公平性を担保するために定められています。

 

その相違点が、どのように実際の相続時に影響するかを整理しました。

 

相続を放棄する場合

相続放棄は、借金などマイナスの相続をしなければならないときや
そうでなくても何か事情があって相続放棄する人もいます。

 

【民法】
先の順位の相続人が相続放棄すると、次の順位の人が相続人になり
相続分も変更していきます。

 

【相続税法】
相続の放棄があった場合でも、その放棄がなかったものとした
相続分と相続割合で、相続税の計算をします。

 

例えば、
被相続人:父 (父の両親と父の配偶者である母は既に他界)
※父には多額の借金がある! ※また父には、存命の兄弟が4人いる
相続人:子供が1人

という設定で

 

上記の場合、相続人は第1順位の子供1人になります。

 

しかしその子供が相続放棄した場合には、

民法では、第3順位にあたる父の兄弟の4人が相続人となりますが、

相続税法では、相続人が子供1人のまま、相続税が計算されます。

 

相続税には基礎控除(3000万円×600万円×法定相続人数)があり、
相続税を計算するうえでは、控除できる法定相続人は数は1人ということ

になります。

 

生前贈与の持ち戻し

被相続人の生前贈与に対して、被相続人が亡くなる前の一定期間の贈与分を、
相続発生時の相続財産として持ち戻して考えることを、贈与財産の持ち戻し
と言います。

 

【民法】
具体的な相続分を算定する際に、特別受益(一部のひとだけが特別に得ていた利益)
があった場合には、相続開始前何年前の贈与でも持ち戻しの対象となります。

 

また、遺留分(相続人に対して、遺言によっても奪うことができない一定割合の遺産額)
基礎額を算定するときの財産額にあたっては、10年内の特別受益
が持ち戻しの対象となります。

 

遺産分割の際には、この特別受益も考慮して相続人全員で検討することになります。

 

【相続税法】
相続開始前7年内に贈与した財産は、相続発生時に相続財産に加算(持ち戻し)して
相続税の課税対象になります。

 

法定相続人と養子の数について

【民法】
養子の数に制限はありません。

 

【相続税法】
無制限に養子の数を法定相続人に含めることによる相続税の負担回避
を防止するため、法定相続人の数に含める養子の数に制限を定めています。

 

制限の内容は、

被相続人に実子がいる場合には1人まで
被相続人に実子がいない場合には2人まで

となっています。

 

みなし相続財産(生命保険など)について

民法上は、相続又は遺贈で取得した財産でなくても、
同様の経済効果があると認められる財産を、

 

相続税法では相続財産として課税する財産があり、

そのような財産を、「みなし相続財産」といいます。

生命保険の死亡保険金死亡退職金などがその代表例です。

 

【民法】

みなし相続財産は

相続財産ではなく、「受取人固有の財産」となります。

 

そのため受取人(相続人)指定のある生命保険の死亡保険金については
以下のような効果が発生します。

 

  • 遺産分割の対象にならない。
  • 原則として、遺留分算定の基礎財産に参入されない。
  • 相続放棄しても受け取れる。
  • 生命保険金を受け取った後でも相続放棄できる。※

 

※万が一、相続財産の中に債務があることがわかり
相続放棄がしたい!ということになっても、
その前に、少しでも相続財産を受け取ってそれを葬儀費用などに
費消してしまっていたら、「相続の単純承認」をしたことになり、
相続放棄の申立てをしても認められない!
という怖さがあります。

 

【相続税法】

「みなし相続財産」として、相続税の課税対象となります。

 

ちなみに、相続税として課税される契約形態は

 

契約者:被相続人
被保険者:被相続人
保険金受取人:相続人

となり、

 

契約者:相続人
被保険者:被相続人
保険金受取人:相続人

上記の契約形態の場合の死亡保険金は、
「みなし相続財産」ではなく

相続人自身の一時所得として、所得税が課税されます。

 

相続財産の評価額について

【民法】

遺産分割をする際の財産の評価方法ついては特段の規定はなく
相続人間で合意すればどのような価格でも
自由に決められます。

 

円満な相続人間での遺産分割協議においては、「相続税評価額」や
「固定資産税評価額」などを参考にすることが多いです。

 

しかし、土地などの評価額は、「時価(実勢価格)」よりも「相続税評価額」や
「固定資産税評価額」が低くなる傾向にありますので、
争族の場面では「時価(実勢価格)」を基礎として
遺産分割や遺留分を算定していくことがあります。

 

【相続税法】

原則として、相続税法及び財産評価基本通達に基づいて各財産を
評価します。

 

なお、相続税計算の基礎となる財産評価額は、評価の安全性を
考慮し、時価よりも低い価格となるものがあります。

 

その代表例として、土地は時価(公示価格・基準地価)の80%
となるように路線価(土地評価の基礎となる㎡当たりの単価)
が設定されています。

 

不動産の相続税評価額は時価ではなく、

土地の場合は路線価で評価額を算定し
建物の場合は、固定資産税評価額で算定をします。

 

 

おわりに!

相続において、民法と相続税方の違いで
トラブルになりやすいのが遺産分割の際の不動産の
財産の評価についてです。

 

不動産は時価(実勢価格)と相続時評価額が大きく違っていることが
あります。

 

又、民法では、遺産分割をする際に
どの評価を使って分けるかの規定もなく
相続人間で自由に決められます。

 

介護などのために被相続人と同居していた不動産を、
そのまま同居の相続人が住み続ける場合に、
その住居財産を時価(実勢価格)で評価して
遺産分割するのもおかしな気がします。

 

お互いが相手のことを考えることができれば、
円満な相続になり、自然と答えが見えてくると思います。

 

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ファイナンシャルプランナー塩川

ファイナンシャルプランナー塩川

・CFP(FP上級資格) ・NPO法人相続アドバイザー協議会 認定会員 ・不動産後見アドバイザー(全国住宅産業協会認定) ・高齢者住まいアドバイザー(職業技能振興会認定) ・宅地建物取引士  ・証券外務員1種

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