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相続対策と生命保険の活用

目安時間 12分

相続において生命保険は、民法上は相続財産になりませんが、

税法上は相続財産「みなし相続財産」になるという
独自の性質を持ちます。

 

又、相続財産として受け取る保険金には
「500万円×法定相続人数」の
非課税枠があり、

その独自の性質や非課税枠を活用することで
様々な相続対策が可能になります。

 

相続対策は

 

1, 分割対策
2, 納税資金対策
3, 節税対策

 

の3つがあり、

 

行使する順番もこの順番で行うのが望ましいです。

 

それぞれの対策の中で、生命保険をどのように活用できるのか?
順番にみていきたいと思います。

 

分割対策(遺産をどのように分けるか?)

1,遺産分割協議が不要

死亡保険金は、「受取人固有の財産」になり、相続人全員で行う
遺産分割協議が不要の財産です。

 

そのため、受取人単独の請求で保険金を受け取る
ことができます。

 

又、遺留分算定(法定相続人に最低限保証された遺産取得分)
の基礎財産にも含まれません。

 

そのことから、相続人間のトラブルも少なくできます。

 

2,受取人を指定することができる

生命保険金の受取人は、遺言と同じ効果がつくれます。

 

生命保険を活用することで、
被相続人は渡したい人に確実に財産を残すことができます。

 

又受取人も、他の相続人とのトラブルを避けて財産が受け取れます。

 

例えば、

・受取人は、法定相続人以外でも、一定の範囲内の親族などを
指定できます。

・金額を決めて受取人を指定できます。

・代償分割資金(不動産等評価の高い資産を受取る相続人と
それ以外の相続人の間を調整する資金)
の原資がつくれます。

 

といいたように、

契約者(被相続人)の意思がほぼ実現できるようになります。

 

3,相続放棄しても受け取れる

被相続人の資産には、
プラスの遺産の他に、借金など負の遺産がある場合もあります。

 

負の資産を相続放棄するときは、プラスの資産も含めて全て放棄しなければ
なりません。

 

一方で生命保険金は、民法上相続財産ではない「みなし相続財産」
となり、相続放棄をしても受け取ることができます。

 

そのことにより、受取った保険金を債権者から請求されることも
ありません。

 

納税資金対策(資産の流動性)

相続が発生すると、預貯金口座が凍結され、
相続人全員の遺産分割協議が終わるまで
預金が引き出せなくなります。

 

遺産分割協議が長引くとその期間、預金があるのに
引き出せない困った状況が続いてしまいます。

 

一方で、生命保険金は遺産分割協議に関係なく短期で支払われます。

 

人が亡くなると、葬儀関係費用などはすぐに必要になります。

 

又、相続税を支払わなければならない場合もあります。

 

特に相続財産の多くを不動産が占めている場合など
納税資金確保に困ることも想定されますが、
計画的に生命保険をかけておくことで、
その納税資金確保にも役立ちます。

 

節税対策

1,生命保険の非課税枠

生命保険には、「500万円×法定相続人数」の非課税枠があります。

(保険料契約者である被保険者が死亡して、
保険金受取人が相続人である場合の契約形態の場合)

 

例えば、被相続人が父、相続人が妻と子供2人の3人の場合

非課税枠が使える契約形態は、

 

契約者:父(被相続人)
被保険者:父(被相続人)
受取人:妻又は子(相続人)

となり、

 

この場合、
500万円×法定相続人3人=1500万円まで
相続税がかからない
ということになります。

 

(注意:相続放棄をした人は法定相続人では
なくなりますので、相続放棄した人が保険金を受け取った場合は、
非課税枠は利用できません。)

 

相続税の支払いが想定される場合、まずこの非課税枠を
使うことで、簡単に節税対策が可能となります。

 

2,適切な生前贈与

今度は、生命保険金を相続税がかかる資産ではなく
所得税がかかる資産として受け取る方法になります。

 

契約形態が、契約者と受取人が相続人
である場合です。

 

例えば、被相続人が父、相続人が妻、子供の場合には

 

契約形態は、

契約者:子(相続人)
被保険者:父(被相続人)
受取人:子(相続人)

となり、

 

受け取る保険金は一時所得として
所得税の対象となります。

 

ここでのポイントは、
被相続人(父)が相続人である子に保険料を贈与して
父の資産を相続人に移転していくという点です。

 

この場合、
贈与の基礎控除110万円/年以内の移転でしたら
贈与税もかかりません。

 

注意:贈与契約書をしっかり作成するなど必要!

 

一時所得は
(受取る保険金×1/2―50万円)が所得税計算の基礎額となり
税額を低くすることができます。

 

そのため、相続税資産でなく一時所得資産として生命保険にして
受取る方が節税できる場合があります。

 

注意点:相続税として受け取る方が有利な場合も
ありますので、両方のケースをシミュレーションしてみる
ことが重要です。

 

この契約形態の生命保険を準備することで
節税以外に以下のような効果もあります。

 

・贈与契約などをしっかり行うことで、名義預金等としての
持ち戻しを防ぐことができる。
・資金移転の方法を分け、相続、贈与、所得税額などの総額を
コントロールできる。
・単純な資金贈与と違い、若年者への資金移転による弊害※
少なくすることができる。

 

※若年者の資金管理を、生命保険が兼ねてくれます。

 

といった点があげられます。

 

その他にも同じ契約形態で
孫への資産の移転をすることも可能になります。

 

契約形態は
契約者:孫
被保険者:祖父(被相続人)
受取人:孫

 

同じく祖父が孫へ保険料を贈与しながら、
資産を移転していくことが可能となります。

 

節税以外の効果は、子への移転と同じで、

 

・贈与契約などをしっかり行うことで、名義預金等としての
持ち戻しを防ぐことができる。
・資金移転の方法を分け、相続、贈与、所得税額などの総額を
コントロールできる。
・単純な資金贈与と違い、若年者への資金移転による弊害を
なくすることができる。

 

といった点になります。

 

注意:孫への資産移転方法には、
暦年贈与や相続時精算課税、教育資金の一括贈与など
他の制度とも比較して検討することが重要です。

 

3、その他

その他では、生命保険金を受け取った後でも相続放棄できる

という点もあげられます。

 

万が一、相続財産の中に債務があることがわかり
相続放棄がしたい!ということになっても、

その前に、相続財産を少しでも先に受け取って葬儀費用などに
費消してしまっていたら、

相続を「単純承認」したということになり、
相続放棄ができなくなってしまいます。

 

生命保険金だったら、受け取って葬儀費用などに費消して
いても、後で債務があることがわかって相続放棄をしたい場合に

(相続の事実を知ってから3か月以内に申立てしなければ

ならない期限はありますが)、相続放棄が可能です。

 

少し類似のケースで、

被相続人が事業などしていて、
その全体の資産状況がつかめず、資産と負債の比率が
どうなっているのか把握するまでに時間がかかってしまう、
又は相当後になって想定外の
負債が分かるなどのケースもあります。

 

そのような場合に、プラスの資産の範囲で負債を相続する
「限定承認」
という方法があります。

 

「限定承認」をすると、
不動産等の資産は競売などにかけられてしまうのですが、

その時に、どうしても残しておきたい資産、

(例えば長年連れ添った配偶者の住まいなど)
を一番最初に購入する権利が相続人に与えられます。

 

それを先買権といいます。

問題はその購入する資金を相続人は保有していることが

必要になりますが、生命保険金を活用することで

その原資を確保することが有効となります。

 

限定承認については、以下記事を参照ください。

借金の相続:相続放棄と限定承認

 

おわりに!

 

相続対策の場面で、生命保険は節税や相続人間のトラブル防止など
大変有効に活用することができます。

 

ただ、贈与や不動産対策など他の対策の方が有効である場合もあり
またある相続対策が他の相続対策に悪影響を及ぼす
といったこともあります。

 

生命保険以外にも、様々な対策を知って、
そのメリット・デメリットを
確認し、家族間で優先順位を決めて
検討していくとが重要となります。

 

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ファイナンシャルプランナー塩川

ファイナンシャルプランナー塩川

・CFP(FP上級資格) ・NPO法人相続アドバイザー協議会 認定会員 ・不動産後見アドバイザー(全国住宅産業協会認定) ・高齢者住まいアドバイザー(職業技能振興会認定) ・宅地建物取引士  ・証券外務員1種

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