当サイトではアフィリエイト広告を利用しています。

「家族信託と相続前後の財産管理」について

目安時間 10分

家族信託は認知症対策という
イメージを持っている方が多いと思います。

 

でも、認知症対策には、成年後見制度もあり
その違いが分かりにくい部分があります。

 

どのような場面で家族信託を使うのが良いのか

また家族信託のデメリットについてまとめました。

 

家族信託とは

家族信託とは、家族による財産管理の方法(契約)です。

 

財産を
受益権(財産から利益を受ける権利)

受託権(財産を管理、運用、処分ができる権利)

の2つの権利に分け、後者の受託権を
子どもなど家族に信託(任せる)方法になります。

 

そうすることで
例えば
認知症や介護状態になってしまって
管理ができなくなった親の財産を、
受託者である子供などが管理
できるようになります。

 

具体的には

 

「委託者」財産の所有者で財産を信託する人
「受託者」財産の管理、運用、処分を任される人
「受益者」財産を持ち、財産から利益を受ける人

 

の3者が登場し
家族信託をする財産を決めて
家族信託契約を結びます。

 

例えば
委託者である親が、受託者である子に
財産の管理、運用、処分を任せ、
そこから発生する利益は受益者である
親が受ける!

 

という形式が基本的なかちになります。

 

家族信託では、親(委託者)が子(受託者)に財産管理を委託し、
親((受益者)がその利益を得るという場合がほとんどです。

 

家族信託が適しているケース

1,自宅の売却

認知症や介護状態が進行し、在宅生活が限界になり
施設に入所しなければならないような場合、

その施設の費用を、自宅を売却して捻出したいときに

 

家族信託ではなく成年後見制度
(判断能力が不十分な方の財産管理や身上監護を支援する制度)
で自宅を売却する場合には

 

本人が自宅に戻る可能性がないこと
自宅を売却する以外に本人の療養介護費用の
捻出ができないことを、

 

家庭裁判所が認めれば売却することができます。

 

そのため、本人に預金が潤沢にある場合には、
家庭裁判所に認められず、

自宅が売却できない可能性が高くなります。

そのような場合に家族信託の出番になります。

 

本人が亡くなるまで家を空き家のまま放置するのは、
放火や空き巣などのリスクも増えますし、
固定資産税などのコストもかかります。

 

家族信託をしておけば、市場の動向に合わせて

売却ができたり、空き家の有効活用
ができるようになります。

 

2,収益不動産の管理

アパート経営には、賃借人の募集や更新契約、
賃借人入れ替わりの際の
クリーニングやリフォーム、
設備が故障した際の修理や交換など、
オーナーは、様々な契約行為
行う必要があります。

 

本人が認知症になってしまったら、
その契約行為をを行うことができなくなります。

 

家族信託をしておけば、
アパート経営などしている本人が認知症になった場合でも
受託者が、その後の賃貸事業
の契約行為を引き継ぎ継続することが可能になります。

 

又、認知症までいかなくとも、
高齢や介護の状態で賃貸事業を
続けることが負担になる場合でも、
家族信託で受託者に賃貸事業を任せることが
可能になります。

 

3,障害を持っている家族の支援

障害のある子どもがいる場合に、
自分が亡くなった後のその子の行く末の
不安はとても大きいものです。

 

例え大きな財産を残せたとしても、
その障害のある子が上手く使うことができないうえ、
悪い人間にだまし取られてしまう
かもしれません。

 

そのような場合、
親亡き後に頼れる兄弟姉妹などがいる場合には
家族信託を使って、受託者をその兄弟姉妹にして、
受益者を障害のある子にして、
その障害のある子を守る仕組みが作れます。

 

頼れる兄弟姉妹などに財産を信託しておき、
自分が死んだあとは、その信託した財産から
障害のある子のためにお金を使ってもらうことが

できるようになります。

 

4,財産の資産運用

本人が認知症になった後の資金は、
成年後見の場合には、後見人がその資金を
管理をしながら、本人の日常生活のために
その資金に使います。

 

その資金の管理方法は、普通の預貯金以外は通常
家庭裁判所に認められません。

 

今の預貯金では、金利がつかないため

インフレ経済下では、
時間が経つにつれ資金は目減りをしていってしまいます。

 

政府は声を大きくして
貯蓄から投資へ!と叫んでいますが、
成年被後見人の財産は実質投資ができない

状況になっています。

 

しかし、
家族信託の場合には、本人の資金の管理権が
受託者に移りますので
その受託者の裁量で(委託者のために)
インフレに負けない資産運用を
することも可能になります。

 

家族信託の注意点

1,身上監護ができない

身上監護とは、本人に代わり、生活・医療・介護などの
契約手続きをすすめる法律行為のことをいいます。

 

家族信託はあくまでも財産管理の制度で、
その身上監護の機能はありません。

 

身上監護までを考えるのであれば、任意後見契約
結んでおくことが必要になります。

 

参:法定後見と任意後見と家族信託について

「法定後見と任意後見と家族信託」について

 

2,親族間で不満はおこる可能性がある

家族信託は、1人の子供を受託者とした場合
他の子どもに知らせずに進めてしまうと
その受託者以外の子供から不満が出て、

家族間の争いに発展してしまう
場合があります。

 

そのため、子供が1人しかいない場合などで
家族信託は適していると言われています。

 

そこで、

複数の子供がいる場合には、事前に家族間でしっかり
話し合って、家族信託契約を進めることが重要になります。

 

3,損益通算ができなくなる

損益通算とは、経済活動の中の利益から損失を引いて、

その残りの金額をもとに税金計算ができる制度です。

 

しかし、家族信託契約結んだ財産は、

その損益通算ができなくなります。

 

例えば、投資用不動産を複数もっていて、
その中の一部の不動産に家族信託を設定した場合
その家族信託を設定した不動産事業が赤字でも、
他の黒字の不動産事業と差し引き(損益通算)が
できないというということになります。

 

家族信託は相続対策になる?

家族信託それ自体は、
直接に相続税を節税する効果はありません。

 

不動産の名義と管理権は子供に変わりますが、
所有権と受益権は親のままになり

信託契約で決めた人にその所有権と受益権を承継するときに
相続税と同額の税額が発生します。

 

又、家族信託をしたからといって、
その財産の評価が下がることも
ありません。

 

ただ、間接的には相続税の節税が可能になります。

 

何もせずに、認知症になってしまった後の親の資産は
相続が発生するまで実質塩漬けになってしまいます。

 

家族信託をしておけば、受託者である子が有効にその資産を
管理、資産運用して、親のために使い
一方で、同時に節税対策もすることができる

からです。

 

おわりに!

家族信託は
認知症後の資産凍結が、回避できます。

しかも認知症になる前の本人の
希望の通りの財産承継もすることができ、

認知症後においても受託者によって、

有効な資産管理(運用や節税対策)
が実現できる制度です。

 

一方で、家族信託は万能ではありません。

 

そのため
遺言任意後見制度という他の制度でも補うことで
本人希望を満たせる身上監護と資産管理そして資産運用の
体制を整えることが可能となります。

 

そのためには、
セカンドライフのグランドデザインと
自分の相続前後の希望を思い描いた
ライフプランをつくることが必要となります。

 

その実現のための相続計画の手段として
家族信託が有効となる場面は多いです。

 

 

以下にメールアドレスを入力しお申し込みください

メールアドレス(必須)

※プロバイダーアドレスでは、メールが受け取れない場合がございますので、
Hotmail以外のYahoo、Gmailなどのフリーメールアドレスでの登録をお薦めいたします。

この記事に関連する記事一覧

コメントフォーム

名前 

 

メールアドレス 

 

URL (空白でもOKです)

 

コメント

トラックバックURL: 

ファイナンシャルプランナー塩川

ファイナンシャルプランナー塩川

・CFP(FP上級資格) ・NPO法人相続アドバイザー協議会 認定会員 ・不動産後見アドバイザー(全国住宅産業協会認定) ・高齢者住まいアドバイザー(職業技能振興会認定) ・宅地建物取引士  ・証券外務員1種

カテゴリー