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「デジタル資産の相続|証券口座・仮想通貨・SNSの引き継ぎ方」

目安時間 12分

インターネットやスマートフォンの普及により、私たちの資産や生活の多くが「デジタル」に移行しました。証券会社のオンライン口座や仮想通貨、SNSやクラウドサービスに保存されたデータなどは、いまや立派な「デジタル資産」です。

 

しかし、これらは紙の通帳や権利証のように目に見えないため、相続時に家族が気づかず失われてしまうケースが少なくありません。実際に、パスワードが分からずアクセスできない、存在を知らずに放置されるといったトラブルも増えています。

 

本記事では、証券口座・仮想通貨・SNSなど代表的なデジタル資産の相続方法や注意点、トラブル防止のための準備について分かりやすく解説します。

 

デジタル資産とは?定義と種類

近年「デジタル資産」という言葉を耳にする機会が増えています。デジタル資産とは、文字通りインターネット上や電子的な形式で存在する資産のことを指します。従来の現金や不動産のように形があるものではなく、電子データとして管理されているのが特徴です。代表的なものには、証券会社や銀行のオンライン口座、仮想通貨(暗号資産)、SNSやメールアカウント、電子マネーやポイント、クラウド上に保存された写真・文書データなどが含まれます。

 

これらのデジタル資産は、従来の資産と異なり「目に見えにくい」「存在を家族が気づきにくい」という課題があります。例えば証券口座の残高やビットコインなどの仮想通貨は、通帳や紙の証書がなければ存在を確認できません。またSNSアカウントやメールは、本人が亡くなった後もログイン情報が分からなければアクセスできず、放置されたままになるケースも多いのです。

 

デジタル資産が相続の対象となることは法律的にも認められており、相続税の課税対象になる場合もあります。しかし、他の相続財産と異なり、アクセス権やパスワードの有無が相続手続きの大きなハードルとなります。そのため「何がデジタル資産に含まれるのか」をまず理解しておくことが、トラブルを避ける第一歩といえるでしょう。

 

証券口座の相続手続き

証券口座は、株式や投資信託、NISAなどを管理しているため、相続時に必ず手続きを行う必要があります。相続人が証券口座の存在を確認すると、まず口座は凍結され、売買などの取引はできなくなります。これにより不正利用を防止すると同時に、法的に正しい相続手続きへ移行する準備が始まります。

 

手続きには、相続人であることを証明する戸籍謄本や遺産分割協議書、被相続人の死亡診断書など、複数の書類が必要です。証券会社によって提出先やフォーマットが異なるため、事前に確認しておくことが大切です。また、相続人が未成年の場合は、親権者や家庭裁判所の関与が必要となるケースもあります。

 

証券口座にある資産は、そのまま現物(株式や投信)を引き継ぐこともできますし、換金して分配することも可能です。ただし、NISA口座については制度上、被相続人が亡くなった時点で非課税扱いが終了するため、通常の課税口座に移される点に注意が必要です。

 

証券口座の相続は、相続税の申告とも深く関わります。評価額は死亡日の終値や基準価額で算出されるため、資産規模によっては申告期限(10か月以内)までに早めの対応が求められます。相続手続きを円滑に進めるためにも、証券会社への早めの連絡と、専門家への相談を並行して行うことが安心につながります。

 

仮想通貨(暗号資産)の相続方法

仮想通貨(暗号資産)は、証券口座と並んで近年注目されているデジタル資産のひとつです。代表的なビットコインやイーサリアムなどは、ブロックチェーン技術によって管理され、紙の証書や通帳のような「形」がありません。そのため、相続においては特有の注意点があります。

 

まず重要なのは、仮想通貨を保管している「場所」の把握です。国内外の取引所口座にあるのか、個人のウォレットにあるのかによって手続きが大きく異なります。取引所にある場合は、証券口座と同じように死亡届や戸籍謄本などを提出して相続手続きが可能です。しかし、ウォレットに保管されている場合は「秘密鍵」や「復元フレーズ」がなければ一切アクセスできず、相続人が資産を失ってしまうリスクがあります。

 

次に税務面です。仮想通貨も法律上は「相続財産」として扱われ、相続税の課税対象になります。評価額は相続開始日の時価で計算されますが、価格変動が大きいため、相続税額と実際の価値が乖離する可能性もあります。このため、専門家に相談しながら申告期限までに正しい評価を行うことが重要です。

 

こうしたリスクを防ぐためには、生前にエンディングノートやデジタル遺言を作成し、保有している仮想通貨の種類や管理方法、取引所のアカウント情報、秘密鍵の所在を明示しておくことが有効です。仮想通貨は「存在を知られなければゼロと同じ」と言えるほど特殊な資産です。家族がスムーズに承継できるよう、早めの準備を整えておきましょう。

 

SNS・メール・クラウドサービスの引き継ぎ

現代ではSNSやメールアドレス、クラウドサービスも重要な「デジタル資産」の一部です。これらは直接的な金銭価値を持たない場合もありますが、写真・動画・人脈・契約情報など、本人や家族にとって大切な記録が残されているケースが少なくありません。そのため、相続時には適切な引き継ぎを検討する必要があります。

 

SNSには、引き継ぎやアカウント処理に関する公式な仕組みがあります。例えば、Facebookには「追悼アカウント」機能があり、あらかじめ指定しておいた管理人がプロフィールを保存・管理できます。Googleには「アカウント無効化管理ツール」があり、一定期間利用がなければ指定した家族に情報を共有できる仕組みがあります。Apple IDについても、近年「デジタル遺産プログラム」が整備され、承認された家族がアカウントにアクセスできるようになっています。

 

一方で、メールやクラウドサービス(Google DriveやiCloud、Dropboxなど)は、ログイン情報が分からなければ利用できず、そのまま消失するリスクがあります。特にクラウド上の契約書や重要なデータは、資産管理や相続手続きに欠かせないケースもあるため注意が必要です。

 

こうしたサービスの引き継ぎには、事前にアカウント情報を整理し、安全に保管しておくことが欠かせません。エンディングノートやパスワードマネージャーを活用し、信頼できる家族や専門家に伝える仕組みを整えることが、デジタル遺産を守る第一歩です。

 

デジタル資産相続で起こりやすいトラブル事例

デジタル資産は便利である一方、相続時には従来の財産にはないトラブルが多発しています。特に「存在を把握できない」「アクセスできない」という問題が代表的です。

 

よくあるケースの一つが、相続人がデジタル資産の存在に気づかないまま放置される例です。証券口座や仮想通貨のウォレットがあることを家族が知らず、資産が実質的に失われてしまうことがあります。形のない資産ゆえに「気づかなければゼロ」となってしまう点は大きなリスクです。

 

また、IDやパスワードが分からないために、資産にアクセスできずに手続きが進まないケースも多く見られます。特に仮想通貨の場合、秘密鍵を失えば資産を取り戻す方法がなく、数百万円単位の資産が失われることも珍しくありません。

 

さらに、相続人の間でトラブルになることもあります。例えば仮想通貨のように価格変動が激しい資産では、「評価額をいつの時点で計算するのか」をめぐって争いが生じることがあります。SNSアカウントに関しては、家族間で「削除するか残すか」で意見が分かれ、感情的な対立を生む場合もあります。

 

このようにデジタル資産は「見えにくさ」と「特殊性」によって、相続人に大きな負担やトラブルをもたらします。だからこそ、生前から存在を明らかにし、必要な情報を残しておくことが何よりも重要になります。

 

トラブル防止のための準備と対策

デジタル資産の相続でトラブルを避けるためには、「事前準備」が欠かせません。紙の通帳や権利証のように形がないため、本人が管理方法を残しておかないと、家族は存在すら把握できずに資産が失われてしまう可能性があります。以下のような準備をしておくことが大切です。

 

エンディングノートやデジタル遺言の作成

証券口座や仮想通貨、SNSアカウントの一覧を整理し、どこにどの資産があるのかを明記しておくことで、家族が手続きを進めやすくなります。特に仮想通貨については「取引所のアカウント情報」と「秘密鍵・復元フレーズ」を分けて安全に保管しておくことが重要です。

パスワードやログイン情報の管理方法を工夫する

紙に書いて保管する方法のほか、信頼性の高いパスワードマネージャーを利用する方法もあります。ただし、情報漏洩のリスクを避けるために、保管場所や共有相手は慎重に選ぶ必要があります。

家族にデジタル資産の存在を伝えておく

「どの証券会社を使っているのか」「仮想通貨を保有しているか」「SNSのアカウントを残したいかどうか」などを普段から話し合っておけば、相続発生時の混乱を大幅に防ぐことができます。

弁護士や税理士、ファイナンシャルプランナーといった専門家への相談

法律や税務の知識を踏まえて最適な対策を提案してもらえるため、より安心して準備を進めることができるでしょう。

 

まとめ

デジタル資産は、証券口座や仮想通貨といった金融資産だけでなく、SNSやメール、クラウド上のデータまで幅広く存在します。従来の相続財産と違い「形がない」ため、家族が存在を把握できなければ資産は失われ、トラブルの原因にもなります。

 

本記事で解説したように、証券口座は証券会社ごとに必要書類を準備して相続手続きを進める必要があり、仮想通貨は秘密鍵やパスワードがなければ承継できません。SNSやクラウドサービスについても、事前に引き継ぎ設定や情報整理をしていなければ放置されたままになります。

 

こうしたリスクを避けるためには、エンディングノートやデジタル遺言を活用し、IDやパスワードを安全に保管しながら家族に伝える準備が不可欠です。また、税務面の対応やトラブル回避の観点から、専門家への相談も強力なサポートになります。

 

デジタル資産はこれからますます増えていく時代の財産です。家族に安心を残すためにも、早めに準備を始めておきましょう。

 

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ファイナンシャルプランナー塩川

ファイナンシャルプランナー塩川

・CFP(FP上級資格)・証券外務員1種・宅地建物取引士・NPO法人相続アドバイザー協議会 認定会員・不動産後見アドバイザー(全国住宅産業協会認定)・高齢者住まいアドバイザー(職業技能振興会認定) (独立系FP会社株式会社住まいと保険と資産管理 所属)」https://www.mylifenavi.net/