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50代の資産運用は「順番」がすべて|偏らないポートフォリオ設計と実例解説

目安時間 19分

50代の資産運用は、「増やす」と「守る」を同時に考える重要な時期です。退職や年金生活が視野に入ることで、「今からでも間に合うのか」「どれを選ぶべきか」と迷う方は少なくありません。特に、ここ数年の上昇相場を受け、株式や海外資産に偏りがちな運用を続けているケースも多く見られます。ただ、“攻め”に偏った運用は、将来の生活を揺るがすリスクにもつながります。本来、資産運用は相場で勝つためではなく、「自分のライフプランを実現するため」に行うものです。この記事では、50代からの資産運用において、株・投資信託・不動産をどの順番で取り入れ、どのように組み合わせるべきかを、実際の相談事例を交えながら、わかりやすく解説します。

50代から資産運用を始める意義と前提条件

50代は、人生における大きな転換点です。

  • 子育て・教育費が落ち着きはじめる
  • 住宅ローンが終盤にさしかかる
  • 退職と年金受給が視野に入る

つまり、「お金を増やしたい」時期であると同時に、「大きく減らせない」時期でもあります。

50代の資産運用で特に重要なポイント

観点 重要な理由
運用できる時間は限られている 大きな損失を取り返す余裕が少ない
リスク許容度が低くなっていく 毎月の生活費や老後資金の確実性が重要
流動性の確保が不可欠 医療・介護など急な支出リスクが高まる

 

結論
50代の資産運用では、「増やす前に守る体制を作る」ことが最優先です。

 

 

実例|上昇相場は判断を狂わせやすい

ここで、最近の相談現場からの実例を紹介します。

■ 相談事例(60代前半・小規模企業経営者)

すでに銀行を通じて資産運用をされていましたが、ポートフォリオを確認したところ、

  • 米国株・オルカン(全世界株式)で約90%
  • 日本株・債券はほぼゼロ

という 株式一極集中型 の状況でした。

背景には、

  • 「ここしばらくアメリカ株の上昇相場が続いている」
  • 「債券は増えないし、入れても意味がない」

という “強気相場に引っ張られた認識” がありました。

しかし、このような 偏りが起こりやすい時期こそ危険 です。

歴史的にも、
「相場に強気の空気が続いた後」 → 「大きな下落」
は繰り返し起きています。

■ 私がお伝えした根本的な視点

資産運用の目的は
相場に勝つこと”ではなく、ライフプランを実現すること。

そのために必要なのは、

  • 目標利回り(ライフプラン実現のために何%が必要か)
  • その利回りを達成できる資産配分
  • 値動きに振り回されない運用の仕組み

です。

今は相場が強く増えやすい時期ですが、
上昇に乗り遅れることよりも、暴落時に慌てて売ることの方が、資産寿命にとって致命的です。

だからこそ、
「分散=保険」ではなく
「分散=長く運用を続けるための土台」
と捉えることが重要です。

50代の資産運用は「優先順位」で決まる|4つのレイヤー設計

資産運用は、「何に投資するか」よりも どの順番で整えていくか の方が重要です。
50代の資産形成は、積み上げる時間が限られるため、焦って“攻め”に走ると、資産全体のバランスが崩れやすくなります。

そのため、まずは次の 4つのレイヤー(階層) に沿って、基盤から積み上げていくことが効果的です。

レイヤー1:生活防衛資金(守りの層)

まず最優先は 生活費の1〜2年分 を手元に確保することです。

なぜ必要か 具体的な理由
相場変動に振り回されないため 投資を中断せずに続けられる安定土台になる
急な医療・介護費に対応するため 50代以降は突発支出の可能性が高まる
「安心して運用する」ため 心理的な余裕が最も重要

 

生活防衛資金がないまま投資を強めると、下落した瞬間に運用を投げ出すリスクが高まります。

※生活費の1~2年分を最低限の目安として、「ご自身の生活費のレベル」「公的年金でどれだけ賄えるか」「将来の突発的な出費にどれだけ備えたいか」を考慮して、現金の割合を決めてください。

レイヤー2:投資信託で基盤となる分散をつくる(基盤の層)

次に整えるべきは、土台になる 分散された投資信託 です。

  • 株式と債券
  • 日本と海外

この2つの軸でバランスを取ることで、値動きが安定します。

おすすめの開始方法

  • 新NISAのつみたて投資枠
  • 毎月1〜3万円から
  • インデックス型・または債券比率の高めなバランス型

ここが 老後資金運用の中核となる層 です。

レイヤー3:株式で成長性を上乗せする(成長の層)

レイヤー2で基盤が整ったあと、余裕資金で 株式の成長性を取り込む のが安全な順序です。

50代以降は、
集中投資ではなく、広く分散した株式投資が基本 になります。

例)

  • 米国や全世界の投資信託
  • 配当が安定した大型株
  • NISAの成長投資枠で段階的に買い増し

ポイントは、
生活費を揺らさない金額で積み上げること です。

レイヤー4:不動産投資は「余裕資金」で(拡大の層)

不動産投資はメリットも大きい一方、流動性が低いため、順番を誤ると家計を圧迫します。

  • まずは区分マンションやREITなど、小規模から検討
  • 将来の売却・相続まで含めた「出口戦略」を最初に設計

不動産は、レイヤー1〜3が整った後に 検討する選択肢 と考えるのが安全です。

 

■ 優先順位ロードマップ(まとめ)

レイヤー 内容 役割 目安量
1 生活防衛資金 運用を続けるための「土台」 生活費の1〜2年分
2 分散型投資信託 安定して育てる「基盤」 月1〜3万円から
3 株式(インデックスなど) 成長を上乗せする「エンジン」 生活防衛資金を超える余裕資金で
4 不動産・REIT 資産・収入源の「拡張」 家計に無理のない範囲で

 

この順番を守ることで、暴落に強く、長く続けられる資産運用が可能になります。

第3章のポイント

  • 「何に投資するか」より「どの順で積むか」が大事
  • 生活防衛資金 → 分散投資 → 株式 → 不動産 の順が安全
  • 分散は「守り」ではなく「長く続けるための仕組み」

ポートフォリオの組み立て方|AとBでスタート地点は違う

資産運用は「何に投資するか」よりどの比率で持つかが成果を左右します。
特に50代・60代では、
ライフプラン → 目標リターン → 資産配分
の順に設計することが重要です。

ここでは、

  • A:すでに運用中で株式に偏りがある人
  • B:これから投資を始める人
    の2パターンに分けて、ポートフォリオの作り方を解説します。

    1.まず「目標リターン」を決める(ここは共通の起点)

    1. 資産運用は

目的を達成するためにどれだけ“増えれば良いか”

    から逆算します。

例:
老後にあと年間36万円(=月3万円)の補填が必要 →
平均リターン 3〜4% を目安にするのが妥当。

目標利回り 現実性 実現に必要な資産配分(目安)
1〜2% 非常に安定 債券・預貯金高め
3〜4% 現実的 株式と債券のバランス型
5〜7% 変動大きい 株式比率が高く、資産寿命が揺らぎやすい

 

50代からは、3〜4%を狙う設計が最も無理がありません。

 

参考記事:なお、年金と資産を組み合わせて“使っていい金額”を算出する方法を先に押さえておくと、目標リターンの根拠がブレません。👉 年金+資産運用で“毎月いくら使えるか”を見える化する方法

A|すでに株式に偏っている人向け(リバランス設計)

現状でよくある例

  • 米国株・オルカン 80〜90%
  • 日本株・債券・現金が極端に少ない

この状態は、上昇相場には強いが、下落に脆い ポートフォリオです。

推奨ステップ(段階的に戻す)

  1. まず「現金比率」を確保する
    → 生活費の1〜2年分
  2. つぎに 債券を復元
    → eMAXIS Slim先進国債券 / 国内債券 など
  3. 最後に 日本株を適度に加える
    → 為替リスクもなくなり、安定化に寄与

比率例(リスクを抑えたい人)

資産 比率目安
日本株 15〜25%
海外株(含オルカン・米国) 35〜50%
債券(国内+海外) 25〜35%
現金 生活費の1~2年分

 

 

ポイント
※「一気に変えない。3〜6ヶ月で段階的に移行 する。」

※現金比率は最終的には「ご自身の生活費のレベル」「公的年金でどれだけ賄えるか」「将来の突発的な出費にどれだけ備えたいか」を考慮して、割合を決められると良いでしょう。

B|これから始める人向け(積み上げ設計)

最初に作る“基盤”

「つみたてNISA」+ インデックス型の投資信託 から始めます。

例:

  • 全世界型の株式投資信託
  • バランス(8資産均等)型の投資信託

進め方

期間 行動
1〜3ヶ月 毎月1〜3万円の投信積立で習慣づけ
4〜12ヶ月 債券比率を少し加え、値動きをならす
1年以降 余裕資金で株式や配当株を上乗せ

 

比率例(標準型)

資産 比率目安
投資信託(株+債券のバランス型) 50〜70%
株式(インデックス・大型株) 10〜25%
現金 20%

 

ポイント
Bは、基盤を“作ってから攻める” が正解です。

 

第4章まとめ(AとBの比較)

タイプ 最初にやること 次にすること 注意点
A:偏りがある人 生活防衛資金 → 債券復元 株の比率を整える 一度に動かさず、段階的に
B:これから始める人 投信で基盤を作る 株とその他資産へ拡張 いきなり高リスクにしない

どちらも「長く続けられる設計」が最優先です。

 

50代が資産運用で陥りやすい“落とし穴”と、そこから抜け出す思考

50代・60代の方からの相談で特に多いのが、「相場が好調な時期に、株式へ比率が偏ってしまう」 ケースです。
先ほど紹介したお客様も、まさにその状況でした。

◎ 強気相場は、人の判断を“上向き”にゆがめる

ここ数年、米国株や全世界株が堅調だったことで、

  • 「債券を入れても増えない」
  • 「どうせアメリカが一番伸びる」
  • 「今は攻め時だと思う」

といった“強気のストーリー”が頭の中に浮かびやすい、特別な相場環境が続いています。

しかし、これは “最近の成功体験が判断を支配する”という心理(近視眼バイアス) によるものです。

相談の中で生まれた「気づき」

お客様はポートフォリオを一緒に見ながら、
こうおっしゃいました。

「言われてみれば確かに…
今はうまくいっているけれど、
これがずっと続くとは限らないですね。」

ここで生まれたのは 「今の自信」と「長期の不安」を同時に認識できた状態 です。

つまり、
短期の“増やす喜び”から、長期の“守る安心”へ視点が戻った瞬間 でした。

落とし穴は「攻め」ではなく「油断」

よくある誤解 実際に大切なこと
債券は増えないからいらない 債券は「暴落時に売らずにすむ余裕」をつくる資産
株は多いほど勝てる 株は“必要分だけ”が最も長続きする
今は強気でいくべき “どんな時でも続けられる設計”こそ本当の強さ

 

資産運用は「増えた額」ではなく「続けた年数」で勝つ

暴落の局面で慌てて売ってしまうと、
その後の回復を逃し、長期の収益カーブは大きく削られます。

だからこそ、

「分散=守り」ではなく
「分散=運用を続けるための仕組み」

という理解が、50代からの運用では最も重要になります。

第5章のポイント

  • 強気相場では、誰でも株に偏りやすくなる
  • しかし偏りは「不安定な運用」を生みやすい
  • お客様の「言われてみれば確かに…」は、冷静さを取り戻した瞬間
  • 資産運用は、「増やす」より「続けられる設計」を優先することが本質

資産運用を“続けられる形”に整えるための実践ステップ

資産運用は「始めること」よりも、「続けられる形にすること」がはるかに重要です。
一度きりの判断ではなく、日常の中に「整える習慣」があることで、相場の波に揺さぶられず、安定した資産形成につながります。

以下は、今日から無理なく取り組める実践ステップです。

ステップ1|家計と資産を“見える化”する

まずは、現在地を正確に把握します。

  • 収入と支出
  • 預貯金・証券口座・保険・不動産
  • 退職金や年金の受取見込み

数字にすると、判断は驚くほど冷静になります。

「なんとなく不安」 は、
「現状が見えていない状態」 から生まれます。

ステップ2|生活防衛資金を確保する

生活費の 最低1〜2年分 を現金または即時解約可能な資産で確保します。

これは「増えない資産」ではなく、
運用を継続するための“土台” です。

※最終的には、**「ご自身の生活費のレベル」「公的年金でどれだけ賄えるか」「将来の突発的な出費にどれだけ備えたいか」**を考慮して、現金の割合を決められると良いでしょう。

 

ステップ3|毎月の積立を小さく始める(または見直す)

  • つみたてNISA・iDeCoなどの 自動積立
  • インデックス型またはバランス型投資信託を中心に

ここでは金額より継続が優先です。

ステップ4|株式と債券の比率を、目標リターンに合わせる

偏りがあれば、段階的に均衡へ戻します。

例:
株式 50〜60% / 債券 25〜35% / 現金 10%前後

焦って一度に動かす必要はありません。

「ゆっくり戻す」ことが、
そのまま 長く続けられる仕組み になります。

 

参考記事:配分を整えたら、税や社会保険の負担を抑えるためにお金を減らさない“引き出し方”のルールも決めておきましょう。 👉 お金を減らさないための“引き出し方戦略”|定年後の取り崩しルール

ステップ5|1年に一度、“点検する日”を決める

「何かあったら見直す」のではなく、
定期点検で淡々と調整することが大切です。

例:

  • 毎年 1月と7月にポートフォリオを確認
  • 株が増えていたら、少し債券を増やす
  • 生活環境に変化があれば再シミュレーション

長く続く運用は、
感情ではなくルールで管理する” ことにより成立します。

第6章のまとめ

  • 運用は「始めるより続ける」ことの方が価値が大きい
  • 続けるためには 土台・基盤・成長・拡張 の順番が大切
  • 相場に合わせるのではなく、自分の人生に合わせて調整する

参考記事:また、収入や取り崩しの仕方によって保険料が上がることがあります。制度面の見落としを避けるために、保険料の仕組みを踏まえた運用戦略も合わせてご確認ください。

👉 健康保険料・介護保険料への影響を考慮した運用戦略

まとめ(全体要約)

50代からの資産運用は、決して「遅い」わけではありません。
むしろ、これからの暮らし方や価値観を見直せる貴重な時期です。

資産運用の目的は、
相場で勝つことではなく、人生を安定して楽しむこと。

そのためには、

  • 焦らず、
  • 偏らず、
  • 長く続けられる運用

を選ぶことが、最も確実な道筋になります。

あなたの資産は、
「大きく増やすこと」よりも、
「必要な未来に、きちんと残っていること」が重要です。

 

✅ 次のステップ(この記事を行動につなぐ提案)

この記事を読んだら、まず 10分だけ 時間を取ってください。

書き出すだけでOKです:

  • 生活費はいくらか
  • 手元資金はいくらか
  • 毎月いくら積立に回せるか

これが あなたの資産運用の“現在地” です。
ここから、未来に向けた地図が描けます。

 

 

執筆者紹介

執筆者:塩川 卓司 (CFP® / 宅地建物取引士 / 証券外務員一種 / 相続アドバイザー) 独立系ファイナンシャルプランナー歴17年。相談実績500件以上。

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ファイナンシャルプランナー塩川

ファイナンシャルプランナー塩川

・CFP(FP上級資格)・証券外務員1種・宅地建物取引士・NPO法人相続アドバイザー協議会 認定会員・不動産後見アドバイザー(全国住宅産業協会認定)・高齢者住まいアドバイザー(職業技能振興会認定) (独立系FP会社株式会社住まいと保険と資産管理 所属)」https://www.mylifenavi.net/

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