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FPが解説|自分に合った年金受給戦略|繰上げ・標準・繰下げの得する選び方

目安時間 29分

「年金はいつから受け取るのが得なのか?」
50代後半〜60代にかけて、多くの方が必ず直面するテーマです。

年金は原則65歳から受け取りますが、60歳からの繰上げ受給や、70歳までの繰下げ受給も可能です。開始時期によって生涯受給額は数百万円単位で変化するため、判断を誤ると後悔につながりかねません。

FP相談の現場でも「健康」「仕事」「貯蓄」「配偶者の年金」など、人によって最適な選択は異なります。

本記事では、実際の相談傾向やFPの経験をもとに、「繰上げ」「標準」「繰下げ」の3つの戦略をわかりやすく比較。あなたのライフプランに合った“後悔しない選択”を一緒に見つけましょう。

 

年金受給の仕組みと3つの選択肢

公的年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金)は原則65歳開始ですが、実際には前後に幅があり、次の3つから選べます。

1.受給開始年齢の選べる範囲

  • 繰上げ受給:60〜64歳で前倒し
    → 1か月早めるごとに0.4%減額(生涯続く)
  • 標準受給:65歳で開始
    → 増減なし(±0%)
  • 繰下げ受給:66〜70歳(※制度上は最長75歳まで可)で後ろ倒し
    → 1か月遅らせるごとに0.7%増額(生涯続く)

ポイント
制度上は75歳まで繰下げ可能ですが、実務では70歳前後が分岐点。65〜70歳の生活費をどう賄うかが現実的な判断材料になります。

2.増減率の考え方(シンプル早見)

区分 開始年齢 増減率 一生続く影響
繰上げ 60歳 −24.0% 少ない(安心は早い)
繰上げ 64歳 −4.8% 少ない
標準 65歳 ±0% 基準
繰下げ 66歳 +8.4% 多い
繰下げ 70歳 +42.0% 多い(長生きほど有利)

 

 

例:基準月額20万円の場合
・60歳開始:20万×(1−0.24)=15.2万円
・64歳開始:20万×(1−0.048)=19.04万円
・66歳開始:20万×(1+0.084)=21.68万円
・70歳開始:20万×(1+0.42)=28.4万円

3.対象となる年金と“合算で考える”重要性

  • 老齢基礎年金(国民年金):日本に住む20〜60歳の期間に応じて受給権。繰上げ・繰下げの対象。
  • 老齢厚生年金:会社員・公務員などの被用者期間に応じて上乗せ。こちらも繰上げ・繰下げの対象。
  • 実際の家計では基礎+厚生の合算で月の受給額が決まるため、両社の受け取る時期は合わせなくてもよく、両者を同じ開始タイミングにするのか、片方だけ調整するのかまでシミュレーションするのが実務のコツです。

4.仕組み上の注意点(最初に知っておくべきこと)

  • 開始後は原則変更不可
    繰上げ・繰下げを選ぶと、原則としてやり直しはできません。
    ただし「65歳時点で請求しない」を選んだ状態なら、**後から65歳開始に“さかのぼって請求”**する選択肢は残ります(柔軟性の確保)。
  • 在職老齢年金との関係
    働きながら受け取る場合、給与と年金の合計が一定額を超えると一部停止の仕組みがあります。フルタイム継続予定かパートかで“最適な開始年齢”は変わります(第3章で詳説)。
  • 家族関連の給付(加給年金・振替加算・遺族年金)
    繰下げを選ぶと加給年金の受給開始も後ろ倒しになるなど、家族給付と連動する点に注意。夫婦全体のキャッシュフローで設計するのが基本です。
  • 税・社会保険料への影響
    年金額が増えると課税所得・介護保険料・国保料(75歳未満の場合)が上がることがあります。受給を遅らせて増額した分が手取りでどれだけ残るかまで見ると判断がぶれません。
  • インフレと資産取り崩し
    65〜70歳の“つなぎ資金”を預貯金だけで賄うと、インフレ負けのリスクが出ます。低リスク資産の取り崩し設計新NISAの活用など、年金開始と資産配分をセットで考えるのがFP的アプローチです。

5.まず押さえる“3つの初期チェック”

  1. 健康・寿命の見立て:持病・家系・ライフスタイル(長寿ほど繰下げ有利)
  2. つなぎ資金の確保:退職金・預貯金・運用収益で65〜70歳を無理なく乗り切れるか
  3. 夫婦設計:どちらを繰下げ(or 標準)にするかで世帯の生涯総受給額とリスク許容度が変わる

FPメモ(現場感)

「片方を標準、片方を繰下げ」にして世帯の底上げ+長寿リスク対策を両立する設計は実務でも多い選択。逆に、無収入期間が長くなる繰下げは、キャッシュ不足で生活の質を落とすなら本末転倒です。

 

この第1章では“制度の幅”と“増減のロジック”を把握しました。
次章では、**実例ベースで「どんな人がどの戦略に向いているか」**を具体的に見ていきます。

 

▶関連リンク:年金の繰り下げ受給は何歳までが得?FPが実例で解説する70歳・75歳の判断基準

ケース別:年金受給戦略の選び方(3パターン)

年金の受け取り方には「繰上げ」「標準」「繰下げ」という3つの方法がありますが、どれが正しいかはその人の状況次第です。
ここでは、実際の相談事例をもとに、典型的な3つのパターンを紹介します。

ケース①:健康で長生きに自信がある人(繰下げ戦略)

🔹こんな人に向いている

  • 健康に自信があり、家系的にも長寿が多い
  • 65〜70歳までの生活費を、退職金・預貯金・運用収益で賄える
  • 老後後半の「ゆとり支出」を重視したい

🔹戦略のポイント

65歳以降も元気に活動できる方にとって、繰下げ受給は老後の後半を支える安定収入源になります。
70歳まで遅らせると年金額は最大42%増額され、これは一生続く仕組みです。
「健康寿命の延び」が進む中、70代後半からの生活費を確保するうえで有効な戦略といえます。

🔹FP現場からの実例

68歳の男性(元公務員)
定年後も顧問として働き、70歳まで繰下げを選択。退職金を5年間で計画的に取り崩し、70歳以降は年金+運用収益で生活を安定化。
「後半の安心を買うつもりで待った」と話されていました。

🔹注意点

ケース②:体調不安や無収入期間がある人(繰上げ戦略)

🔹こんな人に向いている

  • 60歳で完全退職し、再雇用やパートの予定がない
  • 貯蓄をあまり減らしたくない・健康不安がある
  • 今の生活費を安定させたい

🔹戦略のポイント

繰上げ受給は、「早く・確実に」年金を得られる安心感が最大のメリットです。
ただし、1か月早めるごとに0.4%減額され、60歳で始めると最大24%減。
この減額は一生続きます。
長生きするほど受給総額は減りますが、「今を支える」意義は十分あります。

🔹FP現場からの実例

61歳の女性(元パート勤務)
配偶者の年金受給まで2年間の空白があり、生活費確保のため60歳から受給開始。
「毎月の安定収入ができて精神的に楽になった」と話されています。

🔹注意点

  • 減額は生涯固定。長寿になるほど累計で差が開く。
  • 受給開始後は働き方によって在職老齢年金の制限を受ける場合あり。
  • 健康に問題がなければ、64歳繰上げなど“部分的前倒し”も検討を。

FPメモ:
「繰上げ」は損得よりも安心・メンタル安定重視の戦略です。
体調不安や無収入期間が明確な場合は“現金流”を優先するのが正解です。

 

▶関連リンク:お金を減らさないための“引き出し方戦略”|定年後の取り崩しルール

ケース③:平均的な健康・生活バランスを重視する人(標準戦略)

🔹こんな人に向いている

  • 特に大きな健康不安も、過剰な資産余裕もない
  • 夫婦で65歳同時退職を予定
  • 安定した家計管理を望む

🔹戦略のポイント

標準の65歳受給は、減額・増額のない中庸な選択です。
「いつから受け取るか」よりも、「年金+αの収入設計」に重点を置き、
・公的年金(定期収入)
・iDeCoや企業年金(補完収入)
・退職金・運用資産(取り崩し資金)
の3本柱で支出のバランスを取ります。

🔹FP現場からの実例

夫65歳・妻63歳のご夫婦
夫婦で標準受給を選び、生活費の約8割を年金でカバー。残りをiDeCo・NISAから補填。
「65歳で一緒にスタートしたことで、家計管理が分かりやすくなった」との声。

🔹注意点

  • 長寿化で老後30年以上の生活が想定されるため、取り崩し計画が必須。
  • 標準受給は「可もなく不可もなく」ですが、**資産寿命を延ばす戦略(第3章)**と組み合わせるとより安心です。

まとめ:あなたに合う年金戦略の方向性

タイプ 状況 おすすめ戦略 ポイント
長寿・健康自信型 活動的・資産余裕あり 繰下げ 老後後半の生活費を底上げ
健康不安・収入不足型 早期退職・無収入期間あり 繰上げ 今の安定を優先
平均的・堅実型 健康・生活バランス良好 標準 安定・計画重視の中庸策

 

💬FPコメント(塩川FP)

現場で多いのは、「一方的に繰下げ推奨」と思い込んで迷うケースです。
でも本質は「どれを選ぶか」ではなく、「どんな暮らし方をしたいか」。
年金戦略は人生戦略の一部。損得より、安心と納得で選ぶのが最良です。

この第2章では、「誰にどの戦略が合うか」を具体的に整理しました。
次章では、より実践的に「年金開始を決める3つの判断軸」を掘り下げます。

 

年金受給開始を決める3つの判断軸

年金の繰上げ・繰下げをどう選ぶかは、「損得計算」だけで決めるべきではありません。
FPの現場では、単に「何歳まで生きるか」よりも、**「どんな生き方をしたいか」**を基準に決めた方が後悔が少ないという傾向があります。

そのために押さえておきたいのが、次の3つの判断軸です。

判断軸①|健康状態と平均余命 ― 「長生きリスク」をどう捉えるか

🔹考え方

健康で活動的な人ほど、繰下げ受給が有利です。
70歳開始なら年金額は最大42%増え、その増額は一生続きます。
「何歳まで生きるか」よりも、「何歳まで自立した生活を送れるか(健康寿命)」が判断基準です。

🔹チェックポイント

  • 家系的に長寿か、持病はあるか
  • 65歳以降も働く・趣味を続ける意欲があるか
  • 70代以降の支出見通し(旅行・医療費など)

🔹FPの実例

夫婦ともに健康で登山や旅行を楽しむご夫妻。
70歳繰下げで年金を増額し、「老後後半も自由に動けるうちに使う」と明確な目的を設定。
受給額の増加だけでなく、**“生き方を支える年金”**という発想に転換した好例です。

🔹ワンポイント

  • 長生きリスクは「損」ではなく「生活の質の維持」という観点で考える。
  • 医療費・介護費の増加も視野に入れるなら、後半に収入が増える構造が望ましい。

判断軸②|資産・収入の状況 ― 「つなぎ資金」をどう確保するか

🔹考え方

繰下げを選ぶには、65〜70歳の5年間をどう乗り切るかが最大のカギ。
この期間に無収入だと、貯蓄を減らすストレスが大きく、生活の質を落としかねません。

🔹チェックポイント

  • 退職金や預貯金の残高
  • 再雇用やパート収入の有無
  • 資産運用(新NISA・投信・不動産収入)で補えるか

🔹FP現場からの助言

「繰下げを選びたいが、65歳で無収入になるのが不安」という相談は非常に多いです。
その場合、退職金の一部を“年金の代わり”として5年間に分けて取り崩す設計を行います。
このように、キャッシュフローの“つなぎ設計”ができていれば、繰下げの安心感は格段に上がります。

🔹ワンポイント

  • 資産の取り崩しは「順序」が大切。
    預貯金→運用益→退職金など、税やインフレを踏まえた戦略的引き出しを。
  • 資産全体を「老後マネー・定期マネー・自由マネー」に区分するのも有効です。

判断軸③|家族構成とライフスタイル ― 「夫婦単位の最適化」を考える

🔹考え方

年金は個人単位で受給しますが、設計は夫婦単位で行うのが基本です。
配偶者の受給額・遺族年金・加給年金の有無を踏まえると、タイミングをずらす方が世帯収入が安定するケースが多く見られます。

🔹チェックポイント

  • 夫婦の年金見込み額(ねんきん定期便で確認)
  • 配偶者の退職時期と収入バランス
  • 遺族年金の見通し(どちらかに偏りがないか)
  • 介護・相続・住まいなど将来支出の予定

🔹FP実例

夫:会社員(65歳退職)/妻:専業主婦
夫は標準65歳受給、妻は70歳まで繰下げ。
妻が長生きした場合も、遺族年金+増額分で安心。
「片方を繰下げ・片方を標準」にすることでリスク分散と心理的安定を両立できました。

🔹ワンポイント

  • 家族単位でキャッシュフローを見える化すると、「いつ・誰が・いくら」受け取るかの最適解が見つかる。
  • 単独で考えず、夫婦のライフデザインと合わせて設計するのがFP流のポイントです。

まとめ|3つの判断軸の重ね合わせで「納得の答え」が見つかる

判断軸 視点 合う戦略の傾向
健康状態 長寿リスクをどう捉えるか 長生き自信あり → 繰下げ有利
資産・収入 65〜70歳のつなぎ資金が確保できるか 余裕あり → 繰下げ / 余裕なし → 標準・繰上げ
家族構成 夫婦全体での収入設計 タイミングをずらす・組み合わせ最適化

 

💬FPコメント
年金の受給は「確率論」ではなく「納得の選択」です。
3つの軸を整理した上で、**“数字よりも安心感”**を基準に決めると、あとで後悔しません。
年金だけにとらわれず、退職金・NISA・不動産収入・介護費用などを含めた「総合老後設計」で考えるのがベストです。

この第3章では、年金受給時期を決めるための「3つの軸」を整理しました。
次章では、よくある疑問に答える Q&A形式 で、実際に迷いやすいケースをさらに具体的に解説していきます。

 

よくある質問(Q&A形式)

年金の繰上げ・繰下げを検討する際、多くの方が同じような疑問を抱きます。
ここでは、FP相談の現場で特に多い質問をピックアップし、わかりやすく整理しました。

Q1. 繰下げ受給は本当にお得なの?

  1. 「長生きするほど有利」なのは確かです。
    70歳まで繰下げると年金額は最大42%増加し、その増額は生涯続きます。
    ただし、前提は“70歳までの生活資金をどう賄うか”
    この期間に資金が尽きて生活を切り詰めてしまえば、本末転倒です。

💬FPコメント:
私の顧客で、70歳繰下げを選んだ方の多くは「退職金+運用益」で生活費をカバーしていました。
「我慢」ではなく「戦略的な延期」と捉えるのが成功のポイントです。

 

Q2. 繰上げ・繰下げは一度決めたら変更できない?

  1. 原則として変更はできません。
    ただし、例外として「65歳時点で請求をしない」状態を選択しておくと、後から「65歳開始にさかのぼって請求」することは可能です。

これは、“柔軟に繰下げを途中でやめられる”安全弁のような仕組みです。
したがって、65歳以降に働く・健康状態が変化するなど、状況に応じて判断を変えたい方には有効な方法です。

🔹ワンポイント:
・繰上げ開始後は取り消し不可。
・繰下げは途中で請求できる(65〜70歳の間で自由に決定可)。

 

Q3. 夫婦の年金は同じタイミングで受け取るべき?

  1. 必ずしも同時である必要はありません。
    むしろ、片方を標準、もう一方を繰下げにする組み合わせが最適なケースも多くあります。
  • 夫が65歳受給、妻が70歳繰下げ → 妻が長生きしても世帯収入が安定。
  • 夫婦で同時に繰下げると、65〜70歳の無収入期間が長くなりリスクが高い。

💬FPコメント:
ご夫婦の「平均寿命差」「遺族年金」「生活費分担」を考慮して、夫婦単位で受給タイミングを設計すると、安心感が格段に増します。
特に、**夫婦で年金の種類や金額が大きく異なる場合(例:夫は厚生年金、妻は国民年金のみ)**は、タイミングをずらすことで家計のバランスが取りやすくなります。

 

Q4. 働きながら年金はもらえるの?

  1. 可能ですが、在職老齢年金制度に注意が必要です。
    65歳未満では、「賃金+年金月額の合計」が28万円を超えると、超過分に応じて年金が一部停止されます。
    65歳以上では基準が47万円(※令和8年度から62万円に緩和予定)。

💬FPコメント:
「働きながら年金をもらう」ことは可能です。
たとえ在職老齢年金で一部が減額されても、給与収入がある分、世帯全体の手取りはむしろ増えるケースが多いのです。
つまり、“損をする”わけではありません。
ただし、フルタイムで働き続けると税・社会保険料の負担も増えるため、働く時間を少し調整してバランスを取るのが現実的です。

 

▶関連リンク:年金との兼ね合いを考えた働き方選択(在職老齢年金制度など)

 

Q5. 繰下げしても途中で亡くなったら損になる?

  1. たしかに「長生き前提の制度」なので、早期に亡くなった場合は受給総額で見ると少なくなります。
    ただし、近年は「健康寿命の延伸」と「平均寿命の長期化」により、繰下げで損をするケースは減少傾向です。
    また、遺族年金や配偶者の加給年金など、世帯単位で見れば一定の補完が働きます。

💬FPコメント:
「損得」ではなく、「後半の生活を支える仕組みをどう作るか」が大事です。
年金は“保険”の一部であり、「長生きのリスク」に備える制度でもあります。

 

Q6. 年金の受給タイミングを決める前に、何を準備すべき?

  1. まずは以下の3つを整理しましょう。
準備項目 内容 備考
① ねんきん定期便 現在の年金見込額を把握 繰上げ・繰下げ時の差額を確認
② キャッシュフロー表 60〜80歳の収入・支出を可視化 FP相談で作成可能
③ 健康・家族・ライフプラン 働く予定・家族構成・生活費を整理 「生き方」と「お金」の整合性を確認

 

💬FPコメント:
多くの方が「年金をいつからもらうか」を数字だけで判断しようとしますが、
実際はライフプランを“見える化”することで、迷いがなくなる方がほとんどです。
一度でもキャッシュフロー表を作ってみることを強くおすすめします。

 

Q7. FPに相談すると何がわかるの?

  1. FP相談では、次のようなことが具体的に整理できます。
  • 年金・退職金・資産運用を含めた**「老後資金の全体像」**
  • 65歳〜70歳の「つなぎ資金」計画
  • 夫婦で最適な受給時期とシミュレーション
  • 将来の税・社会保険料・医療費負担の見通し

💬FPコメント:
相談を通じて、「安心できる受給タイミング」と「数字の裏付け」を持てることが最大のメリット。
これは制度の知識よりも大きな価値があります。

この第4章では、よくある疑問とその実務的な答えを整理しました。
次章では、本記事全体をまとめながら、「後悔しない年金戦略」を実現するための行動ステップをお伝えします。

 

最終章まとめ|後悔しない年金戦略を選ぶために

年金の受給開始時期には、「これが正解」という絶対的な答えはありません。
しかし、**“自分にとって納得できる選択”**をするための考え方は明確です。

1.年金戦略の本質は「生き方の設計」にある

年金をいつから受け取るかは、単なるお金の問題ではなく、人生の過ごし方の問題です。
健康状態、働き方、家族構成、資産状況――それぞれの違いが「最適な開始時期」を変えます。

FP相談を通じて感じるのは、“損得”ではなく“安心と納得”を基準に選んだ人ほど、老後の満足度が高いということです。

💬FPコメント:
「65歳で始めるのが普通」ではなく、「自分に合ったタイミングを選ぶ」こと。
それが“後悔しない年金戦略”の第一歩です。

2.3つの選択肢、それぞれのメリットを整理

戦略 特徴 向いている人
繰上げ受給(60〜64歳) 早くもらえる安心。減額は一生続く。 体調不安・無収入期間がある人
標準受給(65歳) 増減なしの基準型。安定感重視。 健康・家計が平均的な人
繰下げ受給(66〜70歳) 最大42%増額。長寿ほど有利。 健康・資産に余裕がある人

 

💡結論:
どの選択肢も「正解」になり得ます。
重要なのは、“今の生活”と“将来の理想”のバランスを取ることです。

3.受給前にやっておきたい3つの準備

  1. ねんきん定期便で見込み額を確認
    → 夫婦それぞれの年金額を把握し、差を明確にする。
  2. キャッシュフロー表を作成する
    → 65〜80歳の収支を可視化し、つなぎ資金や余裕資金を算出。
  3. 夫婦・家族で話し合う時間を持つ
    → 「何歳まで働きたいか」「どんな暮らしを望むか」を共有。

💬FPアドバイス:
一度ライフプランを“数値化”してみると、迷いが消えます。
年金の最適解は、“人生設計の見える化”から見えてくるのです。

4.FPに相談するメリット

年金戦略は、単体ではなく「老後資金設計全体」の中で判断すべきテーマです。
FPに相談することで、次のようなメリットが得られます。

  • 退職金・iDeCo・NISA・不動産を含む総合シミュレーション
  • 「何歳からもらうと一番安心か」をデータで確認
  • 税・社会保険料・遺族年金などの複合影響を整理

💬FPコメント:

「もっと早く全体を見直しておけば良かった」という声は本当に多いです。
年金戦略は**老後資金の“出口設計”**でもあり、人生後半の安定を左右します。

 

▶関連リンク:退職金の資産運用・資産管理|失敗しないための分割管理とライフプラン設計

5.行動ステップ|“今日からできる年金戦略準備”

ステップ 内容 目的
Step1 ねんきん定期便を確認 自分の受給見込みを知る
Step2 ライフプラン表を作る 将来の収支バランスを把握
Step3 FPに相談・シミュレーション 客観的に最適な受給時期を確認
Step4 配偶者・家族と共有 世帯単位での最適化
Step5 定期的に見直す 制度改正や生活変化に対応

 

 

💬一言アドバイス:
「迷ったら標準、余裕があれば繰下げ、厳しければ繰上げ」――この順序で検討すると、判断が整理しやすくなります。

6.まとめメッセージ

年金は「制度」ではなく「人生のキャッシュフローを支える仕組み」です。
繰上げ・繰下げ・標準――どの選択肢にも正解はありますが、あなたの生き方に沿った“納得解”こそが最善の答えです。

もし今、「いつから年金をもらうべきか」で迷っているなら、
数字よりもまず、“どう生きたいか”を描くことから始めてみましょう。
その先に、後悔のない年金戦略が必ず見つかります。

 

 

 

 

執筆者紹介

執筆者:塩川 卓司 (CFP® / 宅地建物取引士 / 証券外務員一種 / 相続アドバイザー) 独立系ファイナンシャルプランナー歴17年。相談実績500件以上。

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ファイナンシャルプランナー塩川

ファイナンシャルプランナー塩川

・CFP(FP上級資格)・証券外務員1種・宅地建物取引士・NPO法人相続アドバイザー協議会 認定会員・不動産後見アドバイザー(全国住宅産業協会認定)・高齢者住まいアドバイザー(職業技能振興会認定) (独立系FP会社株式会社住まいと保険と資産管理 所属)」https://www.mylifenavi.net/