老後資金を守る!50代・60代が見直すべき生命保険と医療・介護の備え方

目安時間 11分

老後資金を守る!50代・60代が見直すべき生命保険と医療・介護リスクへの備え方

50代・60代になると、こんな不安をよく耳にします。

  • 「このまま生命保険を続けていて大丈夫だろうか?」
  • 「医療費や介護費って、老後にどれくらいかかるんだろう…」
  • 「保険料だけ払っていて、老後資金が貯まらない気がする」

子どもの独立や住宅ローン完済で責任は軽くなる一方、
健康不安や介護リスクは現実味を帯び、お金の使い方を大きく切り替えるタイミングがまさに50代・60代です。

この記事では、

  • どんな生命保険を見直すべきか
  • 解約や減額を判断するポイント
  • 医療・介護費にどう備えるか
  • 「保険」と「資産運用」をどう役割分担するか

を整理しながら、老後資金を守りつつ必要な保障だけを残す考え方をお伝えします。

 

なぜ50代・60代で保険の見直しが必要なのか?

50代・60代は、人生の大きな節目と言えます。

  • 子どもが独立し、教育費の負担がなくなる
  • 住宅ローンの完済が見えてくる
  • 退職金や年金の見通しが具体的になる

一方で、

  • 医療機関の受診が増え始める
  • 将来の介護リスクが“他人事ではなく”なってくる

という時期でもあります。

若い頃に「万一に備えて」と入った保険をそのままにしておくと、

  • すでに必要のない高額な死亡保障を続けている
  • 医療の実態に合わない古い医療保険を払い続けている
  • 保険料が毎月2〜3万円以上で、老後資金が思うように貯まらない

といった「保険が老後資金を圧迫している状態」になりがちです。

50代・60代は、

「守りのために増やす」時期ではなく、
「老後を見据えて整理する」時期

と捉えることがポイントです。

老後資金を圧迫する医療・介護費のリアル

生命保険を考えるとき、今は医療・介護リスク抜きに語れません。

  • 生涯医療費の多くは70歳以降に集中するといわれる
  • 介護は平均4〜5年、場合によっては10年以上続くこともある
  • 在宅介護でも総額数百万円、施設介護では1,000万円超のケースも珍しくない

とはいえ、日本には

  • 公的医療保険(自己負担1〜3割)
  • 高額療養費制度
  • 公的介護保険・高額介護サービス費

といった仕組みがあり、「丸ごと自己負担」になるわけではありません。

大事なのは、

  • 制度で守られる部分(公的保障)
  • 自分で備えるべき部分(差額ベッド代・居住費・長期化リスクなど)

を切り分け、その「自分で備える部分」をどうカバーするかを設計することです。

ここで役に立つのが、

現金(預貯金)+必要な保険+資産運用

という「三本柱」の考え方です。

見直すべき生命保険の3つの特徴

まずは、今の保険が次のいずれかに当てはまっていないかをチェックしてみてください。

① 更新を重ねた定期保険(割高なまま残っている)

若い頃は少ない保険料で大きな保障が持てる定期保険も、
50代以降は更新のたびに保険料が急上昇します。

  • 子どもが独立したのに、昔と同じ死亡保障額
  • ローン完済済みなのに、高額な死亡保障を維持している

といったケースは、「払いすぎ」になっている可能性が高いです。

② 低金利時代の貯蓄型保険(利回りが極端に低い)

終身保険・養老保険・個人年金などの貯蓄型保険も要注意です。

  • 予定利率が低く、預貯金と大差ない(か、むしろ下回る)
  • 解約時期をずらすと大きく元本割れする

といった商品は、「保険で増やす」役割は薄くなっています。
返戻金を老後資金に組み替える方が、トータルで合理的な場合もあります。

③ 保障の重複(医療保険・がん保険・特約がバラバラ)

  • 医療保険+がん保険+入院特約…と足していった結果、
    同じような入院給付金がいくつもついている
  • 公的医療保険の存在を前提にせず、民間保険で二重三重に備えている

というパターンも、50代・60代に非常に多いです。

なんとなく安心だから入っている保険」は、老後資金の敵になりやすい部分。
ここを整理することで、毎月の固定費を大きく下げることができます。

解約しても大丈夫?判断の7つの基準

解約しても大丈夫?判断の7つの基準

「不要そうなのは分かったけれど、本当に解約して平気だろうか…」
という不安は当然です。次の7つの基準をチェックしましょう。

  1. 家族構成はどう変わったか?
    子どもが独立し、配偶者にも年金が見込めるなら、高額な死亡保障は不要なことが多いです。
  2. 住宅ローンの残債はあるか?
    完済済みなら、団信の役割はすでに終わっています。
  3. 老後の生活資金に不安はあるか?
    毎月2〜3万円以上の保険料が老後の貯蓄を圧迫していないかを確認しましょう。
  4. 公的保障(遺族年金・高額療養費など)を把握しているか?
    これを前提にすると、「民間保険でここまで要らなかった」と気づくことも多いです。
  5. 解約返戻金はどう活かせるか?
    返戻金を新NISAなどの運用や、介護・医療の備えに回す選択肢もあります。
  6. 医療・介護への備えが手薄にならないか?
    死亡保障が不要でも、「長生きリスク」への備えは強化が必要です。
  7. 再加入の可能性はあるか?
    健康状態・年齢によっては、解約したら二度と同条件で入れないこともあります。

解約はあくまで「最終手段」。
何を残し、何を減らすか” を整理するプロセスと考えてみてください。

解約・減額・転換+医療・介護保障の再設計

見直しの方法は、「解約」だけではありません。

① 解約:完全に手放す

  • 役割が終わった死亡保障
  • 利回りの低い貯蓄型保険

などは、老後資金への組み替えも視野に入ります。

② 減額:保障は残しつつ保険料を軽くする

  • 死亡保障1,000万円 → 500万円へ
  • 医療保障をコンパクトにする

など、「ゼロにはしないが必要最低限まで絞る」発想です。

③ 切替え:古い保険から今のニーズに合う保険へ

  • 古い入院日額型 → 通院・一時金重視の終身医療保険
  • 定期保険 → 医療・介護に備える保障へ組み替え

など、老後向けの保障にシフトするイメージです。

このとき意識したいのが、

  • 入院日数は短くなっている → 日額よりも一時金・通院保障を重視
  • がん・先進医療など「まとまった費用」が出る場面をどうカバーするか
  • 更新型で将来の保険料が跳ね上がらないよう、終身型も検討する

といった点です。

保険だけに頼らない「三本柱」の備え方

医療・介護リスクに備えるには、
「保険だけでなんとかしよう」としないことが、むしろ重要です。

① 現金・預貯金(生活防衛+医療・介護予備費)

  • 生活費とは別に、医療・介護費用として数百万円を目安にプール
  • 差額ベッド代や施設の居住費など、「自由度の高い支出」はここから

②必要最小限の保険

  • 医療保険:大きな手術・長期治療・がん・先進医療など「ドカンと出るリスク」をカバー
  • 介護保険や一時払終身保険:介護が長期化したときの“長生きリスク”への備え

「頻度は低いが金額が大きいリスク」だけを保険に任せるのがコツです。

資産運用(新NISAなど)

  • 新NISAを活用して、老後資金全体の“寿命”を伸ばす
  • 元本重視〜バランス型の投資信託で、中長期的に増やしながら備える
  • 必要になったときに一部を取り崩せるよう、「流動性」も意識する

「毎月の保険料でカバーしきろうとする」のではなく、

保険は“穴埋め”
現金と運用資産で“土台をつくる”

という役割分担が、50代・60代にはフィットします。

ライフプラン全体で考える:生活費・医療介護・相続を一体で

医療・介護費用の備えは、それだけを切り出して考えるのではなく、

  • 生活費(基本の暮らし)
  • ゆとり費(旅行・趣味・楽しみ)
  • 医療・介護費
  • 相続・資産承継

といった全体の中の一部として位置づけることが大切です。

ライフプラン表をつくる

  • 何歳頃にどんな支出が増えそうか
  • 年金や運用益でどこまでカバーできるか
  • 介護費用をどのゾーンに見込んでおくか

を見える化すると、「なんとなく不安」が「具体的な数字」に変わります。

家族と話しておく

  • 介護が必要になったとき、どこで・誰が・どう関わるか
  • どの資産を“使うつもり”で、どれを“残すつもり”か

を共有しておくことで、「知らなかった」「聞いていない」というトラブルも防げます。

まとめ:保険は“守り”から“整理”へ

50代・60代にとって、生命保険は

「とにかくたくさん入っておけば安心」
から
「老後資金を守りながら、必要最小限だけ残す」

へと役割が変わるタイミングに来ています。

  • 役割を終えた死亡保障は思い切って整理する
  • 医療・介護リスクは、保険+現金+運用の三本柱で備える
  • 保険料を削って浮いたお金を、老後の資産形成に回す

こうしたシフトができるかどうかで、
老後の「安心度」と「お金の残り方」は大きく変わります。

「自分の保険は、どこを残してどこを減らすべきか?」
「医療・介護費用を、老後のどの枠から準備するのが良いか?」

と感じたときが、見直しのベストタイミングです。

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執筆者紹介

執筆者:塩川 卓司 (CFP® / 宅地建物取引士 / 証券外務員一種 / 相続アドバイザー) 独立系ファイナンシャルプランナー歴17年。相談実績500件以上。
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ファイナンシャルプランナー塩川

ファイナンシャルプランナー塩川

・CFP(FP上級資格)・証券外務員1種・宅地建物取引士・NPO法人相続アドバイザー協議会 認定会員・不動産後見アドバイザー(全国住宅産業協会認定)・高齢者住まいアドバイザー(職業技能振興会認定) (独立系FP会社株式会社住まいと保険と資産管理 所属)」https://www.mylifenavi.net/

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