
「老後資金が2,000万円足りないと言われるが、今から貯めるのは無理だ」
「退職金で一発逆転を狙って、高配当株に投資すべきだろうか?」
50代・60代の相談者様から、このような焦りの声をよく聞きます。
しかし、FPとして冷静に申し上げます。焦ってリスクの高い投資に手を出す前に、足元にある**「最強の資産」**を見落としていないでしょうか?
それは、**「あなた自身(人的資本)」**です。
多くの人は、老後の仕事を「生活費の足し」や「生きがい」といった曖昧なものとして捉えています。
しかし、これを金融理論で計算し直すと、**「月8万円の労働は、2,400万円の金融資産に匹敵する」**という衝撃の事実が見えてきます。
この記事では、きれいごとのキャリア論ではなく、**「資産防衛としてのセカンドキャリア」**について、具体的な数字を使って解説します。
目次
投資の世界には、資産を取り崩す際の目安として「4%ルール」という考え方があります(年利4%で運用しながら取り崩せば資産が長持ちするという理論)。
これを逆算して、「労働収入」を「資産価値」に置き換えてみましょう。
もしあなたが、定年後に無理のない範囲で働き、**月8万円(年間96万円)**の収入を得たとします。
この「年間96万円」を、金融資産(年利4%)で生み出そうとした場合、元本はいくら必要になるでしょうか?
【計算式】
年間96万円 ÷ 利回り4% = 2,400万円
答えは、2,400万円です。
つまり、「月8万円稼ぐ能力」を持っているということは、金融市場において「2,400万円の優良な資産」を持っているのと経済的には同義なのです。
こう考えると、「働くこと」の重みが変わりませんか?
セカンドキャリアとは、単なる小遣い稼ぎではありません。数千万円規模の元本保証された資産を運用しているのと同じなのです。
ここで、冷静に天秤にかけてみてください。
50代からこれを作るのは至難の業です。退職金を全額突っ込んでも足りないかもしれませんし、暴落すれば老後計画が破綻します。
週3日のパート、あるいは経験を活かした顧問契約、趣味の延長の副業…。
これなら、決して不可能な数字ではありません。しかも、株価暴落の影響を受けず、元本割れもありません。
多くの人が**「A(金融資産)」を増やすことに必死になりますが、実は「B(人的資産)」**を活用する方が、リスクは圧倒的に低く、確実性が高いのです。
これが、私が「労働は最強の資産クラスである」と提唱する理由です。
「働く期間」が資産寿命にどう影響するか、簡単なシミュレーションをしてみましょう。
(※60歳時点の貯蓄2,000万円、生活費月25万円、年金月15万円と仮定)
「長く働く」ということは、単に収入を得るだけでなく、**「虎の子の資産(退職金など)に手を付けない期間を作る」**という意味で、最強の資産防衛策になります。
労働を「資産」として捉えるなら、その運用方針はどうあるべきでしょうか?
現役時代のように「身を粉にして高収入を得る」必要はありません。むしろそれはハイリスクです。
目指すべきは**「債券」のような働き方**です。
ストレスが強く、体力的にキツイが給料は高い。
→ 体を壊して1年で辞めてしまったら、資産価値はゼロになります。
給料はそこそこ(月5〜10万)だが、ストレスが少なく、感謝され、健康にも良い。
→ 70歳、75歳まで続けられるなら、その「総資産価値」は計り知れません。
50代・60代の仕事選びで最も重要な指標は、時給の高さではなく**「継続可能性(サステナビリティ)」**です。
「これなら10年続けられそうだ」と思える仕事を見つけることこそが、最も賢い投資活動と言えます。
「自分には特別なスキルがない」と諦める必要はありません。50代・60代だからこそ重宝される仕事はたくさんあります。
現役時代の知識を「スポット」で提供する方法です。
不動産業界等の視点でおすすめなのがこれです。
すぐに大きな金額にはなりませんが、長く続けるには最適です。
FPとして相続の現場に立ち会っていると、痛感することがあります。それは、**「社会とのつながりを失うと、認知機能の低下が早まるリスクがある」**ということです。
完全リタイアして誰とも話さない生活が続くと、認知症のリスクが高まります。もし認知症になってしまえば、銀行口座が凍結されたり、不動産の売却ができなくなったりと、せっかく守ってきた資産が「使えない資産」になってしまう恐れがあります(これを防ぐには成年後見制度などが必要になりますが、費用も手間もかかります)。
週数回でも外に出て働き、同僚やお客さんと会話をする。
これだけで脳は刺激を受け、心身の健康が維持されます。
つまり、働くことは**「月8万円の収入(攻め)」であると同時に、「医療・介護費の削減や資産凍結の回避(守り)」**という、目に見えない巨大な経済効果も生んでいるのです。
Q1. 年金をもらいながら働くと、年金が減らされると聞きました。
A.確かに「在職老齢年金制度」により、年金と給与の合計が一定額(現在は月50万円、令和6年度基準)を超えると年金の一部が停止されます。しかし、今回ご提案している「月8万円(年100万円程度)」の働き方であれば、年金がカットされる基準には全く届きませんので、全額受け取れます。 安心して働いてください。
Q2. 60代で新しいことを覚えるのが億劫です。
A.無理に新しいスキルを習得する必要はありません。「過去にやっていたこと」や「苦にならないこと」の延長で探すのがコツです。また、シルバー人材センターなどでは、短時間・簡易な業務も多く紹介されています。まずは「週1日」から慣らしていくのも良いでしょう。
Q3. どんな職種が狙い目ですか?
A.人手不足が深刻な業界です。マンション管理、清掃、介護補助、送迎ドライバーなどは常に求人があり、60代・70代が主力戦力として活躍しています。選り好みしなければ、「仕事がない」ということはまずありません。
「定年してまで働きたくない」
そう思うのは、労働を「苦役」と捉えているからかもしれません。
しかし、視点を変えてみてください。
あなたは、**「自分自身」という、暴落せず、インフレにも強く、月々確実に配当(給与)を生み出す「最強の資産」**を持っています。
この3つをバランスよく組み合わせるのが、老後資産管理の正解です。
株価チャートとにらめっこする時間を、少しだけ「自分が無理なく長くできる仕事は何か?」を探す時間に使ってみてください。
月8万円の仕事を見つけた瞬間、あなたは**「2,400万円の資産防衛」**に成功したのと同じなのですから。
この記事を読んだあなたへ
「働くこと」が最強の資産防衛になることは分かりました。
では、年金・貯蓄・労働をどう組み合わせれば、私の老後は安泰?
迷ったら、まずはプロが使う「設計図」を手に入れてください。
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ファイナンシャルプランナー塩川
・CFP(FP上級資格)・証券外務員1種・宅地建物取引士・NPO法人相続アドバイザー協議会 認定会員・不動産後見アドバイザー(全国住宅産業協会認定)・高齢者住まいアドバイザー(職業技能振興会認定) (独立系FP会社株式会社住まいと保険と資産管理 所属)」https://www.mylifenavi.net/
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