
60代を迎えると、「この広い家に夫婦二人で住み続けていいのか?」「管理が楽なマンションや賃貸の方が幸せでは?」という迷いが生まれます。
人生100年時代、定年後の暮らしは30年以上続きます。
住まいは単なる「建物」ではなく、あなたの**「健康」「資産」「幸福度」**を決める最大の土台です。
しかし、多くの人が「愛着があるから」という理由だけで判断を先送りし、結果として**「老朽化した家に縛られ、資金も体力も尽きる」**という後悔をしています。
この記事では、**「リフォーム」「住み替え」「賃貸」**のどれがあなたにとって正解なのか?
FPの視点から、費用・メリット・リスクを徹底比較し、後悔しない決断のための判断基準をお伝えします。
目次
判断を始める前に、今の家の「健康診断」をしましょう。
以下の項目に当てはまる場合、その家は将来、あなたを苦しめる「負担」になる可能性があります。
「住み慣れている」という感情を一旦横に置き、**「10年後、80代になった自分たちがここで安全に暮らせるか?」**を冷静に問いかけてみてください。
ここで、実際の相談現場で見た対照的な2つのケースをご紹介します。
郊外の広い戸建て(築35年)にお住まいでしたが、「庭の手入れが限界」と感じて売却を決断。
駅徒歩5分のコンパクトな中古マンションに住み替えました。
「住み慣れた家がいい」と、段差の多い古い家に住み続けました。
しかし75歳で足を悪くし、階段が使えず1階だけで生活するように。冬場の寒さも体に堪え、結局介護施設に入居することに。
「決断の遅れ」が、老後の明暗を分けるのです。
「やっぱり今の家が好きだ」という場合の選択肢です。
単に内装をきれいにするだけでは不十分です。命を守るために、以下の改修が必須です。
リフォーム費用は安くありませんが、以下の制度を使えば負担を減らせます。
「広すぎる家を売って、駅近のコンパクトなマンションへ」という、今、選ぶ方が増えている選択肢です。
メリット
デメリット
「家を所有するリスク(固定資産税・修繕義務)」から解放されたい人向けです。
メリット
デメリット
永遠のテーマですが、60代においては**「ライフプラン(価値観)」**で答えが決まります。
| 比較項目 | 持ち家 (維持・住み替え) |
賃貸 (売却) |
|---|---|---|
| 安心感 | ◎ 「終の棲家がある」安心 |
△ 更新や退去の不安あり |
| コスト | △ 修繕費・税金が予測不能 |
○ 家賃は一定だが一生続く |
| 資産性 | ○ 子供に残せる |
× 何も残らない |
| 自由度 | △ 簡単に動けない |
◎ 施設入居時も解約が楽 |
住み替えを決断した時、一番の悩みは**「自宅の売却」と「新居の購入」、どっちを先に進めるか**です。
【FPのアドバイス】
シニア世代の住み替えは「資金の安全性」が最優先です。原則は**「売り先行」**、もしくは「確実に売れる価格(査定額の下限)」を見極めてからのスタートをお勧めします。
最後に、住まいの見直しでよくある「迷い」にお答えします。
Q1. 子供部屋を物置にしていますが、リフォームすべきですか?
独立した子供が帰ってくるのは年に数回です。そのために部屋を空けておくのは無駄です。壁を抜いてリビングを広げたり、趣味の部屋にしたりと、**「夫婦二人の暮らし」**を最優先にリノベーションすることで、満足度が上がります。
Q2. 仏壇があるから、狭い家には移れません。
ご先祖様を大切にする気持ちは素晴らしいですが、それが理由で不便な家に縛られ、あなたの生活が脅かされては本末転倒です。お寺で供養してもらい、新居に合う小さな仏壇にするなど、柔軟に考えてみましょう。
「どの家に住むか」は「どう生きるか」と同じです。
正解は一つではありません。
この3つを並べて、夫婦で話し合ってみてください。
「なんとなく住み続ける」のではなく、「自分で選んで住む」ことが、セカンドライフの満足度を劇的に高めます。
次のステップを迷われている方へ
この記事で「選択肢」は分かったけれど、
「まずは今の家がいくらで売れるか知りたい」
「売るべきか、住み続けるべきか、数字で判断したい」
と迷われている方も多いかもしれません。
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ファイナンシャルプランナー塩川
・CFP(FP上級資格)・証券外務員1種・宅地建物取引士・NPO法人相続アドバイザー協議会 認定会員・不動産後見アドバイザー(全国住宅産業協会認定)・高齢者住まいアドバイザー(職業技能振興会認定) (独立系FP会社株式会社住まいと保険と資産管理 所属)」https://www.mylifenavi.net/
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