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借金の相続はどうする?相続放棄と限定承認の仕組み・メリット・注意点を徹底解説

目安時間 9分

相続は、現金や不動産などの資産だけでなく、借金やローン、連帯保証といった負債も対象になります。うっかり相続を承認すると、予期せぬ多額の借金を背負う可能性があるため、早めの判断が重要です。

 

本記事では、借金相続の際に選べる「相続放棄」「限定承認」「単純承認」の3つの方法を詳しく解説します。

 

さらに、限定承認のメリット・デメリット、申立ての手続きや注意点、失敗事例とその対策も紹介。借金を相続しないための最適な判断と、家族の将来を守るためのポイントをわかりやすくまとめました。

借金も相続の対象になる?相続の3つの方法

相続というと現金や不動産などプラスの財産を受け取るイメージが強いですが、借金やローン、連帯保証といったマイナスの財産も同様に相続の対象となります。相続人は、財産の内容を把握したうえで、どのように相続するかを選択することが重要です。相続の方法には大きく3つあり、「単純承認」「限定承認」「相続放棄」のいずれかを選ぶ必要があります。

 

  1. 単純承認は、プラスとマイナスの財産すべてを無条件で引き継ぐ方法で、特に手続きをしなければ自動的に単純承認となります
  2. 限定承認は、相続したプラスの財産の範囲内で借金を返済し、それを超える負債は相続しない方法です。
  3. 相続放棄は、プラスの財産も含めて一切相続しない方法で、借金を背負いたくない場合に選ばれます。

これらの選択肢は、相続開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所に申立てを行う必要があります。特に借金があるか不明な場合や債務超過の恐れがある場合は、限定承認や相続放棄を早めに検討することが重要です。

限定承認とは?仕組みと特徴

限定承認とは、相続人が「相続によって得たプラスの財産の範囲内」でマイナスの財産(借金)を清算する方法です。つまり、被相続人が多額の負債を抱えていても、相続財産を超える分の借金を引き継ぐことはありません。相続財産の中にプラスの資産があるが、正確な債務額がわからない場合や、プラス資産を一部でも残したい場合に有効な選択肢です。

 

限定承認を行うためには、相続開始を知った日から3か月以内に、相続人全員の合意を得て家庭裁判所に申立てを行う必要があります。この「熟慮期間」を過ぎると、特別な手続きをしない限り単純承認とみなされてしまうため、注意が必要です。また、限定承認を行うと、裁判所の監督下で財産目録を作成し、債権者への公告を行い、借金の清算を進める手続きが必要となります。

 

限定承認はメリットも大きい一方で、手続きが複雑で専門知識を要するため、司法書士や弁護士など専門家のサポートを受けながら進めることが推奨されます。

相続放棄とは?知っておきたい注意点

相続放棄とは、被相続人の財産を一切相続しないことを意味します。プラスの財産だけでなく借金や連帯保証といったマイナスの財産も含めてすべて放棄するため、借金を背負いたくない場合に有効な方法です。相続放棄をすれば、被相続人の債務を返済する義務がなくなるため、予期せぬ借金の相続を避けられます。

 

相続放棄を行うためには、相続開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所へ申立てを行う必要があります。この「熟慮期間」を過ぎると、特別な事情がない限り相続放棄は認められず、単純承認とみなされるため注意が必要です。また、相続放棄をした場合、次の順位の相続人(兄弟姉妹や甥・姪など)に権利と義務が移る点にも気を付けなければなりません。次順位の相続人が気づかずに借金を引き継いでしまうトラブルも多く発生しています。

 

相続放棄は書類の作成や家庭裁判所への申請が必要なため、司法書士や弁護士などの専門家に相談して手続きを進めるとスムーズです。

限定承認のメリットとデメリット

限定承認は、借金を相続せずにプラスの財産を残せる可能性がある一方で、注意すべき点も多い制度です。

 

メリット

  • 「借金を資産以上に引き継がない」 ため、相続財産を超える借金は支払う必要がなく、相続人の生活を守ることができます。
  • 「先買権」 があり、競売される不動産を相続人が優先的に買い戻せるため、住み慣れた自宅を残したい場合に有効です。
  • 相続放棄のように次順位の相続人へ借金が引き継がれる心配がないのも利点です。

    デメリット

  • 相続人全員の合意が必要で、1人でも反対する人がいれば成立しません。
  • 限定承認を行うと税法上は「みなし譲渡」とされ、不動産などを相続した場合に譲渡所得税が課税される可能性があります。
  • 公告や財産目録の作成など 手続きが複雑で時間がかかる ため、専門家のサポートが欠かせません。

借金相続で失敗した実例と教訓

借金相続のリスクを軽視すると、家族全体に大きな負担を与えることがあります。以下は、実際にあった失敗事例です。

 

社長Aさんは生前に1.5億円の借入(連帯保証付き)を抱えていました。Aさんが急死し、長男Bが事業と不動産、借金を相続。次男Cと長女Dはそれぞれ500万円の預金を相続しました。ところがBには経営の才がなく、相続から3年後に会社が倒産。この時点でC・Dも先代の連帯保証債務を引き継いでいることが判明し、各5000万円の請求を受ける事態に。相続放棄をしようとしたものの、すでに500万円を受け取っていたため放棄が認められず、大きな負担を背負うことになりました。

 

教訓として、事前に以下の対策が必要です。

  1. 連帯保証を「免責的債務引受契約」に切り替える。
  2. 難しければC・Dは相続放棄し、Bから謝礼金を贈与で受け取る。
  3. 生前に生命保険を活用し、債務返済資金を準備する。

借金相続で後悔しないためのポイント

借金を含む相続では、正しい知識と迅速な対応が不可欠です。

 

まず大切なのは、相続開始を知った日から3か月以内に「単純承認・限定承認・相続放棄」のいずれかを選ぶ必要がある という点です。この「熟慮期間」を過ぎると自動的に単純承認とみなされ、借金をすべて引き継いでしまうリスクがあります。

 

また、被相続人の財産内容を早期に把握することが重要です。プラスの資産(現金、不動産、有価証券)だけでなく、借入金、ローン、連帯保証契約などマイナスの資産を正確に調査する必要があります。財産調査は金融機関や法務局、税務署の情報を確認し、必要に応じて専門家に依頼するとスムーズです。

 

さらに、限定承認や相続放棄の手続きは複雑で、書類不備や期限切れで認められないこともあります。司法書士や弁護士など相続に詳しい専門家に早めに相談し、正しい選択を行うことが、後悔を防ぐ最大のポイントです。

 

まとめ

相続は、資産だけでなく借金や連帯保証といった負債も引き継ぐ可能性があるため、慎重な判断が求められます。

 

相続方法には「単純承認」「限定承認」「相続放棄」の3つがあり、状況に応じた適切な選択が重要です。特に借金の有無や額が不明な場合、限定承認を活用することで、プラスの財産を守りながらマイナスの財産を限定的に清算できます。また、借金が明らかに多い場合は相続放棄を検討することで、負債を一切引き継がずに済みます。

 

ただし、これらの手続きは相続開始を知った日から3か月以内に行う必要があり、専門知識が必要な場面も多いのが現実です。事前に財産調査を行い、必要に応じて司法書士や弁護士などの専門家に相談することで、スムーズに手続きを進めることができます。

 

借金を含む相続は、家族の将来に大きな影響を及ぼします。事前の対策や計画を立てることで、不要なトラブルを避け、円満な相続を実現しましょう。

 

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ファイナンシャルプランナー塩川

ファイナンシャルプランナー塩川

・CFP(FP上級資格) ・NPO法人相続アドバイザー協議会 認定会員 ・不動産後見アドバイザー(全国住宅産業協会認定) ・高齢者住まいアドバイザー(職業技能振興会認定) ・宅地建物取引士  ・証券外務員1種