「年金だけで、老後生活は本当に大丈夫だろうか?」
50代、60代を迎えた多くの方が抱えるこの漠然とした不安。旅行や趣味を楽しみたい気持ちがあっても、「お金が足りなくなるのでは」という心配が先立ち、なかなか行動に移せない方も少なくありません。
しかし、その不安は「毎月いくら使えるか」を具体的に計算し、見える化することで大きく和らげることができます。
この記事では、公的年金に加えて、ご自身の金融資産をどう組み合わせれば、安心して使えるお金を確保できるのかを、具体的なステップとシミュレーションを交えて解説します。
数字を把握することは、お金の心配から解放され、心から納得できるセカンドライフを描くための第一歩です。
目次
老後の生活を支える収入源は、主に3つの柱で構成されています。これらを理解し、自分の状況に合わせて整理することが、計画を立てるうえでの出発点となります。
日本の公的年金制度は、国民年金と厚生年金の2階建て構造です。多くの方が65歳から受給を開始し、老後の生活を支えるベースとなります。
夫婦2人世帯(夫が平均的な会社員)の場合、受給額は月20万円前後が目安とされていますが、個々人の加入状況で大きく異なります。正確な見込み額は、日本年金機構の「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で必ず確認しておきましょう。これからの資産計画を立てるうえで、最も重要な出発点となります。
公的年金だけでは不安な場合、自助努力で上乗せする私的年金が老後の収入を大きく補強してくれます。
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退職金やこれまでの預貯金、投資で形成してきた資産をどう活用するかが、老後の生活の質を大きく左右します。低金利の時代にただ預貯金に頼っているだけでは、インフレによる物価上昇に追いつけません。
資産運用は、老後資金をただ取り崩すのではなく、安定的に増やしながら使うことで「資産寿命」を延ばすための重要な収入源となります。株式や投資信託、不動産など、リスクとリターンのバランスを考えた運用が、毎月の使える金額を増やすカギです。
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老後の安心を得るためには、収入だけでなく「支出」を正しく把握することが不可欠です。収入の見積もりに加え、出ていくお金の実態を「見える化」することで、初めて「毎月安心して使える金額」が明確になります。
総務省の家計調査によると、高齢夫婦無職世帯の平均支出は月25万円前後とされています。しかし、これはあくまで平均であり、ご自身の生活スタイルや住む地域によって大きく異なります。まずは、以下の必須支出を具体的に計算してみましょう。
将来の計画を立てる際に、見落としがちなのが変動支出です。これらを計画に組み込むことで、より現実的で豊かな老後生活が見えてきます。
これらの収入と支出の全体像を「数字」で把握することこそが、「毎月いくら使えるか」を知るための土台となります。
収入と支出の全体像を整理したら、いよいよ具体的な計算に入ります。公的年金という「確定的な収入」に加えて、資産運用から得られる「変動収入」をバランスよく組み合わせるのがポイントです。
まずは、最も確実な収入源である年金額を把握します。「ねんきんネット」で最新の見込み額を確認し、年間の受給総額を算出しましょう。夫婦の場合は、お二人分の年金額を合算します。
退職金や預貯金、投資信託、株式など、すべての金融資産を洗い出し、総額を把握します。この際、資産を以下の2つに分けて考えることが重要です。
資産運用から安定的な収入を得るためには、ご自身のリスク許容度に応じた目標利回りを設定します。
設定した目標利回りをもとに、運用に回せる資金から年間で得られる「運用益」を試算します。
最後に、ステップ1で確認した「年金収入」と、ステップ3で試算した「運用益」を合算し、毎月の生活費と照らし合わせます。
例:
この場合、毎月の生活費が25万円なら、月7.5万円を趣味や旅行などの余裕資金として使える計算になります。さらに、インフレ率や寿命を加味した「資産寿命シミュレーション」を行うことで、資産が何歳まで持つかを具体的に把握できます。
理論だけではイメージが湧きにくい方のために、代表的な3つのケースでシミュレーションを見てみましょう。
シミュレーションはあくまで目安です。老後の資金計画には、いくつかの不確実性が存在します。
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「年金+資産運用」で毎月いくら使えるかを具体的に計算するには、以下のツールを活用するのがおすすめです。
老後の不安を解消する第一歩は、「見える化」することです。
「ねんきんネットで年金見込額を確認する」
「現在の金融資産を一覧化する」
このシンプルな作業だけでも、自分がどの程度の余裕を持って生活できるかのイメージが具体的になります。
「見える化」された数字は、あなたのセカンドライフを支える最強の味方です。お金の不安から解放され、心から納得できる豊かな人生を送るために、今すぐ最初の一歩を踏み出してみませんか。
ファイナンシャルプランナー塩川
・CFP(FP上級資格)・証券外務員1種・宅地建物取引士・NPO法人相続アドバイザー協議会 認定会員・不動産後見アドバイザー(全国住宅産業協会認定)・高齢者住まいアドバイザー(職業技能振興会認定) (独立系FP会社株式会社住まいと保険と資産管理 所属)」https://www.mylifenavi.net/
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