今回は、「不動産の相続税評価額と土地の5つの価格」についてです。
相続税は、相続税評価額を元に計算されます。
税理士に依頼して評価額を出す前に、自身でもある程度
理解しておくと、相続計画を前もって準備をしておくことが
できるようになるでしょう。
又、その中で特に不動産に関しては少し複雑です。
土地には、相続税評価額の他にも4つの価格があり
遺産分割協議で分ける際は、どの価格を分けるかは
自由ですので、その全体像をつかんでみてください。
【土地】
1,路線価方式
市街地的形態を形成する地域の路線に
面する宅地の1㎡当たりの評価額にことで
毎年各国税局が作成する路線価図に
基づいて土地を評価します。
路線価が定められている地域は
この路線価で相続税評価額を算出します。
国税庁 路線価図・評価倍率表
https://www.rosenka.nta.go.jp/
2、倍率化方式
路線価が定められていない地域
の土地等を評価する場合に用います。
国税庁評価倍率表の説明
https://www.rosenka.nta.go.jp/docs/ref_rtof.htm
3,借地権の評価
路線価又は倍率化方式の評価額×借地権割合
国税庁借地権の評価
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4611.htm
4,貸宅地の場合
路線価又は倍率化方式の評価額×(1−借地権割合)
5,貸家建付地の評価
(土地所有者のアパートなどが建っている土地)
路線価又は倍率化方式の評価額×(1-借地権割合×30%×賃貸割合)
※借地権割合は、路線価図に記載してあります。
【建物】
1,自用家屋(自宅)
固定資産税評価額×1.0
2,貸家
自用家屋の評価額×(1−30%×賃貸割合)
固定資産税評価額は毎年4~5月に交付される
納税通知書に記載してあります。
1,実勢価格
実勢価格は、不動産を実際に売買するとき
の価格で「時価」とも呼ばれています。
最終的に売主と買主が合意して、
実際に取引を行った価格が「実勢価格」となります。
実勢価格は不動産を売買するうえで
最も重要な価格になります。
国土交通省が運営している
土地総合情報システムで参考金額が調べれられます。
https://www.land.mlit.go.jp/webland/servlet/MainServlet
2,公示価格
公示価格は一般の土地取引に指標を与える役割があり、
公共事業用地を取得する際には
公示価格が基準となります。
公示価格は、全国の都市計画区域などに
設置された標準地1地点につき、
2人以上の不動産鑑定士が鑑定評価します。
なお、建物がある場合は更地として1平米あたりの
価格が算出されます。
標準地の公示価格は基準地検索システムで調べられます。
https://www.land.mlit.go.jp/landPrice/AriaServlet?MOD=0&TYP=0
注意点は公示価格は標準地の価格であるため、
所有している不動産の近隣であっても
土地の形や接道状況といった
条件が異なれば価格も異る点です。
3,基準地価格
基準地価とは、毎年7月1日時点の
全国の標準地を都道府県ごとに
算定したもので、9月に公表されます。
毎年1月1日に算定して3月に公表される
公示価格と半年の時間差があるため、
基準地価は公示価格を補う役割があります。
又公示価格や路線価は年始に出て、
「基準地価」は7月に出ることから
その間の経済の変動を読み取れる面もあります。
4,固定資産税評価額
固定資産税評価額は、各市町村が3年に一度、
1月1日時点の土地価格を算定したものです。
固定資産税や都市計画税、不動産取得税、
登録免許税といった税金を算出するうえでの
基準となる役割があるため、
日常生活で目にする機会も多いです。
固定資産税評価額は公示価格の
概ね70%で設定されています。
正確な価格は、固定資産税課税明細書
や固定資産評価証明書で確認することができます。
5,路線価格
土地の価格がおおむね同一と認められる一連の土地
が面している路線ごとに評価して1㎡あたりの価格
で相続税評価額として使われています。
路線価は、地価公示価格の
概ね80%水準で定められています。
相続人当事者間の遺産分割協議で、
金融資産については
評価額が明確なので分けることは用意です。
しかし不動産に関しては、
不動産は2つに分けたりできないので、
分け方が争点になる場面もあります。
又、遺産分割で分ける時の不動産の評価方法
について、法律で定めがないので
相続人間でどの評価を使うかは自由です。
一般的には、
実勢価格か固定資産税評価額か相続税評価額
の中から選択がされているようです。
評価額の関係で
実勢価格> 固定資産評価額又は路線価
となりますから必然
不動産を相続したい人は、固定資産税評価額又は路線価の方を
不動産を相続しない相続人は、実勢価格の方を選択したい!
という気持ちが働きがちになります。
実務上一番多いのは
固定資産税評価額を使って分けるケースが多いようです。
というのも、不動産を売ることが前提でない
相続が多い!ということがあるからかもしれません。
概して、もめていない親族の場合には、固定資産税評価額
を使って分けているケースが多いようです。
揉めてしまう場合の1つの提案ですが、
売らない前提の不動産の場合は固定資産税評価額で
売る前提の不動産の場合は
固定資産税評価額と実勢価格の中間位で
というのが妥当のように私は感じております。
というのも、売る前提の不動産を評価する場合でも
将来、実際にいくらで売れるかわからないという面
があるからです。
土地のそれぞれの価格を捉えるには
固定資産税評価額を基点に考えるとわかりやすいです。
というのも固定資産税納税通知書は必ず
送られてきますし、そこに固定資産税評価が記載されているからです。
そしておおよおそ以下のような関係になっていますので
固定資産税評価額を割り戻して計算すればそれぞれ
の金額のイメージがつかめます。
公示価格=概ね時価(実勢価格)
固定資産税評価額=時価の概ね70%
路線価=時価の概ね80%
ことから
時価は固定資産税評価額÷70%が概ねの金額になり
その時価×80%が路線価になるからです。
わかりやすいですね!
ファイナンシャルプランナー塩川
・CFP(FP上級資格) ・NPO法人相続アドバイザー協議会 認定会員 ・不動産後見アドバイザー(全国住宅産業協会認定) ・高齢者住まいアドバイザー(職業技能振興会認定) ・宅地建物取引士 ・証券外務員1種
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