「親から不動産を相続するのは当然」――そんな価値観が変わりつつある今、不動産を子どもに残すべきかどうか、多くの50代・60代が悩んでいます。
不動産は確かに大きな資産ですが、固定資産税・修繕費・管理の手間など、子ども世代にとっては“負の遺産”になるリスクもあるのです。
この記事では、ファイナンシャルプランナーの視点から、「不動産を残すメリットとデメリット」「相続時のトラブル回避法」「老後の資金戦略としての不動産活用」などを、わかりやすく解説します。
家族がもめず、資産を賢く引き継ぐために――今こそ、不動産の“残し方”を見直してみませんか?
目次
高齢化が進む日本では、親から子への「不動産の相続」が大きな課題となっています。
総務省の統計によると、空き家率は年々上昇し、2030年には3戸に1戸が空き家になると予測されています。
老後の生活を安定させるためにも、不動産の活用や処分を含めた戦略的判断が求められています。
不動産を子に残すことには、いくつかの明確なメリットがあります。
不動産を子に残すことにはメリットがある一方で、見過ごせないリスクや課題も存在します。
まず大きな問題は「維持・管理の負担」です。
空き家になれば固定資産税や修繕費用、草刈りや防犯などの維持管理に手間とコストがかかります。
遠方に住む子どもにとっては現実的に対応が難しく、結果として放置され、空き家問題に発展することも。
また、不動産は現金と違って簡単に分割できないため、相続人が複数いる場合は「誰が継ぐか」「どう分けるか」で争いになるリスクが高まります。
さらに、親が「残したい」と考えていても、子ども側は「いらない」「負担だ」と感じているケースも少なくありません。
不動産を相続させる際には、事前に家族間での意向確認や、活用・処分方法を明確にしておくことが、トラブルを防ぐカギとなるのです。
不動産を「子に残すか、それとも売却するか」は、感情だけで決めるのではなく、いくつかの判断基準をもとに検討することが重要です。
これらを総合的に考えることで、「残すべきか、活用すべきか、手放すべきか」の判断がよりクリアになります。
不動産は人生後半の資産戦略の中心的存在。
冷静な見極めが、家族にも自分にも安心をもたらします。
不動産相続を成功させるカギは、「早めの準備」と「オープンなコミュニケーション」にあるのです。
老後と相続の両面を見据えた不動産戦略は、ライフプラン全体で考えることが重要です。
不動産は老後の安心と家族の未来を支える強力な資産となり得ます。
不動産は、感情的にも経済的にも大きな意味を持つ資産です。
しかし、「とりあえず残す」では、かえって家族に負担をかけるリスクがあります。
大切なのは、「誰に・どのように引き継ぐか」を具体的に描き、老後の生活設計とバランスをとりながら判断することです。
子どもがその不動産をどう受け取るか、維持できるか、価値があるか——これらを冷静に見極めた上で、売却・活用・相続の選択肢を比較しましょう。
また、早めに家族と話し合い、専門家(FP・税理士・司法書士など)と連携することで、トラブルのない相続や老後資金の確保が可能になります。
不動産は「持ち方」ひとつで人生の安心にも、重荷にもなり得ます。
これからの時代は、“想い”と“戦略”の両立が求められるのです。
ファイナンシャルプランナー塩川
・CFP(FP上級資格) ・NPO法人相続アドバイザー協議会 認定会員 ・不動産後見アドバイザー(全国住宅産業協会認定) ・高齢者住まいアドバイザー(職業技能振興会認定) ・宅地建物取引士 ・証券外務員1種
コメントフォーム