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配偶者が相続するときのポイントについて

目安時間 9分

今回は、「配偶者が相続するときのポイント」についてです。

 

相続において配偶者は、常に強く優遇されています。

 

相続する割合も常に一番多く、
更に相続税は優遇され低く抑えらています。

 

相続税が優遇されているといっても、配偶者に多くを
相続するのが得策ではない場合もあります。

 

又、2018年の民法の改正で「配偶者居住権」という制度が
創設され2020年4月1日以降の相続から施行されています。

 

そのあたりのことについて、整理していきます。

配偶者の相続割合

 

配偶者は常に相続人となります。

 

【子がいる場合】 配偶者が1/2 子が1/2(人数分で分ける)

例えば、子供が2人いる場合は、

配偶者は1/2のまま、子は1/2を2人で分けるので1/2×1/2
の1/4ずつということになります。

 

【子がいなくて両親がいる場合】 配偶者が2/3 両親が1/3

 

【子と両親がいなくて被相続人の兄弟姉妹がいる場合】
配偶者が3/4 兄弟姉妹が1/4

となります。

 

配偶者と子供は常に相続人になりますが、

両親は子がいない場合に相続人となります。

 

又兄弟姉妹は、子と両親がいない場合に初めて相続人になる
ということになります。

配偶者の税額軽減

 

配偶者は、被相続人の財産形成に貢献してきたことや、
今後の生活などの理由から、相続税に関して大きく優遇されています。

 

相続における配偶者の税額軽減とは、

具体的には、配偶者の承継財産について
1,1億6000万円
2,法定相続分まで

どちらか大きい財産額まで相続税がかからない制度です。

 

注意しなけれないけないことは、
その適用要件です。

 

適用要件は2つあります。

 

1つは、遺産分割や遺言により相続の分割割合が決まっていること

遺言があれば問題ありませんが、無い場合で相続人間でもめていて
遺産分割が定まっていない、要は争っていたらこの特例は使えません。

 

2つめは、この特例を使う場合には申告をしなければならないという点です。

配偶者の居住権

 

配偶者居住権は2020年4月1日施行の民法の改正で設けられました。

 

設けられた経緯は、

長寿の時代になり、夫婦のどちらか一方が
亡くなった後に、1人で長期間生活する配偶者が増えたことによります。

 

その残された配偶者が生活のための住居を確保するためには、
配偶者が住居を相続して、現金を子供たちが相続するという
ケースが多かったのですが、その場合住居は確保できても
長生きの時代の生活費が確保できないという問題が出てきました。

 

そこで、配偶者居住権を創設し
住居を所有権と居住権に分け、所有権を子供に
居住権を配偶者に という相続の仕方ができるようになったのです。

 

配偶者は居住権の価値を得て
所有者(子のケースが多い)は
(所有権−居住権)の価値を得るというイメージです。

 

メリットは
1,配偶者居住権も登記しますので、第三者に対抗できるという点です。
そのため配偶者の住居を安定的に確保できます。

2,所有権よりも価値の低い居住権という価値の相続になるので
その分預貯金なども相続できるようになり、納税資金や生活資金
が確保できる

といった点になります。

 

特に相続財産の価値の大半を実家が占めている場合
要検討です。

 

デメリットは、

配偶者居住権が原則終身期間になるので
将来、物件の売却や再活用が難しくなる点があげられます。

20年以上連れ添った配偶者への贈与

 

配偶者の居住の確保という点では、配偶者の居住権の制度の他に
贈与税の配偶者控除を使うという方法もあります。

 

婚姻期間が20年以上の配偶者に持ち家(土地)を贈与する
場合に限り、持ち家(土地)の評価額が2000万円以下まで
贈与税が非課税になる制度です。

 

ここに「生前贈与の基礎控除110万円」も併用することが
できますので、併せて2110万円以下であれば非課税という
ことになります。

 

ただ、注意しなけれいけないのは
この制度使う場合、不動産取得税や登録免許税が
相続をする場合よりも金額が高くなる点と、その他名義変更費用などが
かかり、その全てのコストが、2000万円の贈与で
なんだかんだで100万円前後位はかかってしまうという点です。

 

そもそも、相続の時の配偶者の税額軽減で1億6000万円
までの資産が非課税になるので、全体を見て様々なバランスを
考えて、どの選択すれば良いのか良く考えることが重要です。

一時相続と二次相続

 

配偶者の税額軽減で配偶者が全ての財産を相続すれば、
相続税がかかるケースが少なくなるでしょう。

 

しかし、配偶者が全ての財産を相続した場合、
その配偶者が次に子供たちに相続
(二次相続)するときに負担が重くなる場合もあるので
注意が必要です。

 

二次相続の相続税が多くなってしまう場合の理由は、

 

配偶者の財産が、
元々配偶者が所有していた財産+一次相続で相続した財産
になり、配偶者に財産が集中してしまうと、

相続税は相続税財産額が多くなるにしたがって
税率が高くなる累進税率であるため、

一定分は子供たちが相続した方が、

一次相続、二次相続のトータルで相続税が抑えられるケースも多いです。

 

二次相続では、相続人が減る分基礎控除も減る
(基礎控除は3000万円+600万円×相続人数)

 

又、二次相続のときは、各種税額軽減が使えない場合が多くなる
(配偶者の税額軽減はもちろん使えないのと、
既に子供たちが自分の家所有していたら
土地の評価を8割低くしもらえる小規模宅地の特例も使えないなど)

 

といったことが挙げられます。

おわりに!

 

相続税は資産が増えるに従って税率が高くなる累進税率のため
一次相続と二次相続のときとの両面を考え
一次相続での配偶者の相続割合を決めることで
相続税のトータルの節税対策で有利にすることができます。

 

ただ、相続対策は節税対策だけでなく
円満対策(分割の対策)納税資金確保対策も大事です。

 

又、遺された配偶者の年齢が高齢化するため
認知症対策なども必要になるかもしれません。

 

これらの対策をすべて漏れなく
自分たちで行うのは非常に大変です。

 

相続に詳しいFPである相続アドバイザーなどに
相談して、網羅的に相続計画を組み立てるのが良いでしょう。

 

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ファイナンシャルプランナー塩川

ファイナンシャルプランナー塩川

・CFP(FP上級資格) ・NPO法人相続アドバイザー協議会 認定会員 ・不動産後見アドバイザー(全国住宅産業協会認定) ・高齢者住まいアドバイザー(職業技能振興会認定) ・宅地建物取引士  ・証券外務員1種

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