
「相続税対策で保険に入りましょう」
銀行や保険の営業マンから、そう言われたことはありませんか?
確かに生命保険には「非課税枠(節税)」のメリットがあります。
しかし、FP歴15年以上の現場経験から言わせていただくと、生命保険が真価を発揮するのは「節税」だけではありません。
「実家を売らなければいけない…」という最悪の事態(分割トラブル)を防ぐための「現金の即戦力」として使うこと。
これこそが、不動産オーナーにとっての生命保険の最大の役割です。
この記事では、単なる節税の話ではなく、**「不動産を円満に引き継ぐためにどう保険を使うべきか」**という視点で、分割・納税・節税の3つの活用法と、失敗しない保険の選び方を徹底解説します。
目次
生命保険は、相続において非常に特殊な立ち位置にあります。
この「二面性」を理解することが活用の第一歩です。
この「遺産分割協議に入らない(=特定の相続人に確実に渡せる)」という性質が、次の「代償分割」で威力を発揮します。
相続財産が「実家(3,000万円)」と「預金(500万円)」しかない場合、兄弟2人でどう分けますか?
実家を物理的に半分に割ることはできないため、多くのケースで**「実家を売却して現金を分ける」**ことになります。
しかし、「長男家族が同居していて売りたくない」場合どうするか?
ここで登場するのが**「生命保険を使った代償分割」**です。
対策: 親が自分に保険をかけ、受取人を「長男(実家を継ぐ人)」にする。
結果: 長男は保険金(現金)を受け取る。その現金を「代償金」として次男に渡すことで、実家を売らずに、次男にも公平に遺産を分配できる。
「家はあるけど金がない」というご家庭こそ、生命保険で「調整用の現金」を作っておくべきなのです。
生命保険には、現金や不動産にはない強力な非課税枠があります。
非課税限度額 = 500万円 × 法定相続人の数
例えば、相続人が妻・子2人(計3人)の場合、1,500万円までの保険金は相続税がかかりません。
ただ銀行に1,500万円預けておけば丸々課税されますが、これを保険に移し替えるだけで、評価額をゼロにできるのです。
「預金を保険に変える」。これだけで確実な節税になります。
具体的にどれくらい相続税計算上の評価額が変わるのか、シミュレーションを見てみましょう。
モデルケース:
保険に変えるだけで、相続税の計算上の財産を1,000万円も圧縮できました。
税率が10%〜20%の場合、これだけで**100万〜200万円の節税(キャッシュバック)**と同じ効果があります。手間をかける価値は十分にあります。
相続が発生すると、銀行口座は凍結され、遺産分割協議が終わるまで引き出せなくなります(※仮払い制度もありますが限度額があります)。
しかし、葬儀費用や当面の生活費、そして**相続税の納税(10ヶ月以内現金一括)**は待ってくれません。
生命保険金は、受取人が書類を提出すれば、通常1週間程度で振り込まれます。
この**「圧倒的なスピード(流動性)」**は、他の資産にはない強みです。
不動産が売れるのを待たずに納税資金を用意できるため、売り急いで安く叩き売るリスクも回避できます。
「保険なら何でもいい」わけではありません。目的に合った種類を選ばないと、いざという時に「保険金がおりない(期限切れ)」という事態になります。
FPとしてのアドバイスは、「相続対策(資産を渡す)」には終身保険、「現役時代の守り」には定期保険と使い分けることです。
「保険なら何でも節税になる」わけではありません。
**「誰が保険料を負担したか」**によって、かかる税金の種類が変わり、場合によっては損をすることもあります。
| 契約者 (保険料負担) |
被保険者 (亡くなった人) |
受取人 | 税金の種類 | 非課税枠 |
|---|---|---|---|---|
| 父 | 父 | 子 | 相続税 | 使える◎ |
| 子 | 父 | 子 | 所得税 | 使えない× |
| 母 | 父 | 子 | 贈与税 | 使えない× |
相続対策(非課税枠の活用)として使うなら、一番上の**「父(被相続人)が契約し、保険料を負担する」**形にするのが鉄則です。
生命保険は、単なる金融商品ではありません。
受取人を指定することで、こうした**「親の想い」を確実に届けることができます。
特に不動産をお持ちの方は、「不動産(分けにくい資産)」と「生命保険(分けやすく使いやすい資産)」をセットで準備すること**が、円満相続の最適解です。
【FP塩川からのご提案】
「うちは保険に入った方がいいの?いくら入ればいい?」
「今の契約形態で本当に節税になっている?」
そう不安に思われた方は、まずご自身の状況を整理してみませんか?
**「相続トラブルを防ぐためのチェックリスト」**を無料ガイドブックで公開しています。
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この記事を読んだあなたへ
保険は「入り方」を間違えると逆効果になります。
正しい相続対策のステップを、まずこのガイドブックで確認してください。
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ファイナンシャルプランナー塩川
・CFP(FP上級資格)・証券外務員1種・宅地建物取引士・NPO法人相続アドバイザー協議会 認定会員・不動産後見アドバイザー(全国住宅産業協会認定)・高齢者住まいアドバイザー(職業技能振興会認定) (独立系FP会社株式会社住まいと保険と資産管理 所属)」https://www.mylifenavi.net/
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