
定年を迎え、長年積み上げてきた「退職金」や老後資金をどのように管理し、使っていくか――。
これは「貯める」こと以上に難しい、人生最大の課題です。
「せっかくの退職金、減らすのが怖くて使えない」
「銀行に勧められるまま投資していいのか不安」
そんな悩みを抱えたまま、思考停止で定期預金に預けていませんか?
しかし、インフレが進む今、何もしないことは「資産を目減りさせるリスク」そのものです。
大切なのは、以下の3ステップで管理することです。
この記事では、退職金を減らさず守るための「具体的な運用商品」から「出口戦略」まで、FPの視点で徹底解説します。
目次
退職金が入った瞬間、気が大きくなって高額な商品を買ったり、逆に不安で過度な節約に走ったりしていませんか?
どちらも、**「将来の全体像(ライフプラン)」**が見えていないことが原因です。
運用商品を選ぶ前にやるべきこと
「何を買うか」の前に、以下の計算を済ませましょう。
この「不足額」が見えて初めて、「リスクを取って運用すべき金額」と「絶対に守るべき金額」の境界線が決まります。
ここを飛ばしていきなり投資を始めると、必ず失敗します。
退職金運用で失敗しないコツは、資金を役割ごとに**「3つのバケツ」**に色分けすることです。
では、それぞれのバケツには具体的にどんな商品を入れるべきでしょうか?
50代・60代におすすめの「守りの運用手段」を紹介します。
【注意】避けるべき商品
銀行窓口で勧められる「退職金専用定期(高金利)とセットの投資信託」や「仕組み債」「外貨建て保険」などは、手数料が高くリスクが複雑なため、慎重な判断が必要です。
運用しながら、いざ使う時はどう引き出すか?
日本の実情に合わせた2つの方法を知っておきましょう。
【FPの推奨】
生活費の不足分(必須のお金)は**「定額」で、旅行や趣味(余裕資金)は「定率」**で取り崩す、「ハイブリッド型」がおすすめです。
いざお金が必要になった時、どのバケツから使うべきでしょうか?
正解は、「安全資産(現金)」から先に使うことです。
理由:複利効果を最大化する
現金は置いておいても増えませんが、投資信託(成長バケツ)は寝かせている間も働いてくれます。
「働くお金」を最後まで残すことで、結果として資産全体の寿命が延びるのです。
「現金が減っていくのは怖い」と感じるかもしれませんが、**「その裏で運用資産が育っているから大丈夫」**と考えるのがコツです。
最後に、退職金の運用や取り崩しについて、相談現場でよくいただく質問にお答えします。
Q1. 暴落が起きて資産が減った時も、取り崩しを続けていいですか?
A.いいえ、その時は「運用資産」からの取り崩しをストップしてください。
株価が暴落している時に投資信託を売却するのは、資産を安く買い叩くことになり、寿命を一気に縮めてしまいます。
こういう時こそ、**「① 安全資産のバケツ(現金)」**の出番です。相場が回復するまでの数年間は、手元の現預金を使って生活し、運用資産は触らずに回復を待ちましょう。
この「待てる体力」を作るために、生活費の3〜5年分を現金で持っておくのです。
Q2. 銀行の「退職金専用定期預金(金利数%!)」は利用すべきですか?
A.金利の数字だけで飛びつくのは危険です。条件をよく確認しましょう。
「年利3%」などと宣伝されていますが、適用されるのは「最初の3ヶ月だけ」というケースがほとんどです(実質利回りは0.数%程度)。
また、セットで「投資信託の購入」が条件になっている場合、その投資信託の手数料が高く、定期預金の利息以上にコストがかかることもあります。
「期間限定の金利」に惑わされず、トータルで資産を守れるかを判断してください。
Q3. 75歳や80歳になっても、運用は続けるべきですか?
A.認知機能の低下に備えて、徐々に「シンプル化」することをおすすめします。
人生100年時代、インフレに対抗するために90歳まで運用を続けること自体は有効です。
しかし、判断能力が低下してくると、複雑なポートフォリオ管理は難しくなります。
75歳を過ぎたら、値動きの激しい株式を減らし、管理の手間がいらない「個人向け国債」や「シンプルなバランスファンド」に集約していくなど、**「守りの度合い」**を高めていく出口戦略もセットで考えましょう。
老後資金の管理で一番大切なのは、「死ぬ時に一番お金持ち」を目指さないことです。
お金は、あなたの人生を豊かにするための「道具」に過ぎません。
このルールさえ守れば、過度な節約をせずとも、資産寿命は延ばせます。
安心して、豊かなセカンドライフを楽しんでください。
この記事を読んだあなたへ
「資産管理のルール」は分かったけれど、自分の場合はどう配分すればいい?
迷ったら、まずはこの「設計図」を手に入れてください。
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ファイナンシャルプランナー塩川
・CFP(FP上級資格)・証券外務員1種・宅地建物取引士・NPO法人相続アドバイザー協議会 認定会員・不動産後見アドバイザー(全国住宅産業協会認定)・高齢者住まいアドバイザー(職業技能振興会認定) (独立系FP会社株式会社住まいと保険と資産管理 所属)」https://www.mylifenavi.net/
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