定年後に「枯れる人」と「輝く人」の差。58歳に学ぶ「3つの自分資産」

目安時間 7分

「定年したら、毎日何をして過ごせばいいんだろう…」

「会社の名刺がなくなったら、自分はただの人になってしまうのではないか」

50代・60代のお客様から、資産のご相談とセットで、このような**「アイデンティティの不安」**を打ち明けられることが増えました。

老後資金の計算はできても、心の空白までは埋められないからです。

しかし先日、私が参加しているFPのスタディグループで、そんな不安とは無縁の、**「目の奥が少年のように輝いている58歳の男性(Aさん)」**に出会いました。

彼は来年定年を迎えますが、多くの人が選ぶ「再雇用」には頼らず、「キャリアコンサルタント」として独立する準備を着々と進めています。

なぜ彼は、多くの人が守りに入る50代後半で、これほど活き活きと新しい世界へ飛び込めるのか?

彼から学んだ、長生き時代を最高に楽しむための**「お金以外の3つの資産」**についてシェアします。

これは、FPとして資産形成を説く私にとっても、衝撃的な気づきでした。

 

58歳、専門学校生。「会社以外の仲間」ができる喜び

Aさんは、長年異業界で勤め上げたまさに企業戦士。

本来なら、会社の再雇用制度を使って、慣れた仕事を65歳まで続けるのが「安全な道」です。

しかし彼は、**「自分の人生、後半戦こそ自分らしく生きたい」**と一念発起。

平日の夜や週末を使って、キャリアコンサルタントの専門学校に通い始めました。さらに、「お金の知識もあったほうが相談者に役立つから」と、私たちがいるFPの勉強会にも参加されています。

彼が目を輝かせながら、私にこう語ってくれました。

「塩川さん、専門学校やこの勉強会に来るのが本当に楽しいんです。

ここには、私の会社の役職なんて関係ない。年齢も職業もバラバラな人たちが、同じ目標に向かって議論している。

今まで仕事だけの付き合いでしたが、『新しい世界での仲間』ができることが、こんなに刺激的だとは思いませんでした」

その表情は、失礼ながら、疲れ切って電車に揺られる現役サラリーマンの何倍も若々しく見えました。

まさに、セカンドステージへ向けて「助走」を楽しんでいる姿そのものでした。

自分資産①:社外で通用する「スキル(人的資本)」

Aさんが持っている1つ目の資産は、**「看板を下ろした自分」で勝負する力(人的資本)**です。

多くの人は、会社の看板(役職)が外れることを恐れます。

「元〇〇部長」という肩書きがなくなった瞬間、誰からも相手にされなくなる恐怖があるからです。

しかし彼は、定年前に自ら看板を外し、「キャリアコンサルタント」や「FP知識」という**新しい武器(スキル)**を身につけに行きました。

「学ぶこと(リスキリング)」は、最強の若返り薬です。

50代からでも、新しい知識は吸収できる。自分が成長している実感こそが、セカンドライフを生き抜く自信になります。

自分資産②:利害関係のない「サードプレイス(社会資本)」

2つ目は、**「会社(ファーストプレイス)」でも「家(セカンドプレイス)」でもない、「第三の居場所(サードプレイス)」**です。

定年後に一気に老け込んでしまう原因の多くは、「今日行く場所がない」「今日話す人がいない」という孤独です。

会社人間だった人ほど、定年退職した翌日から携帯電話が鳴らなくなり、社会との接点を失います。

Aさんは、専門学校やスタディグループという**「好きなことでつながるコミュニティ」**を、現役のうちに確保しました。

そこには、上司も部下も、利害関係もありません。

「Aさん、その考え面白いですね!」と言い合えるフラットな仲間。

この人間関係(社会資本)こそが、孤独を防ぐ最大の資産です。

自分資産③:未来にワクワクする「好奇心(心理的資本)」

そして3つ目が、**「まだ数十年続く人生への期待感(心理的資本)」**です。

「定年=余生(残りの人生)」と考えている人と、

「定年=第2章(本当にやりたいことの始まり)」と考えている人。

このマインドセットの違いが、行動量の差を生みます。

Aさんは、私にこう言いました。

「50代から自分のやりたいことに挑戦できる。物心両面で恵まれた、今こそ最高の時なんです」

「もう還暦だから」と諦めるのではなく、「これからが本番だ」と目を輝かせる。

このポジティブなエネルギーさえあれば、人は何歳からでも青春を始められます。

挑戦するには「土台」がいる。FPとしての視点

ここまで読んで、「Aさんは特別だ」「自分にはそんなバイタリティはない」と思われたかもしれません。

しかし、FPとして冷静に見ると、Aさんがこれだけ大胆に挑戦できるのには、**ある「裏付け」**があります。

それは、**「お金の不安をクリアにしていること」**です。

専門学校の学費を払う余裕。

再雇用を選ばずに独立するリスクを取れる家計の体力。

彼がFPの勉強をしていることからも分かる通り、彼は無鉄砲に夢を追っているのではなく、「これくらいの資産があれば、何歳まで大丈夫」という計算(ライフプラン)ができているからこそ、アクセルを全開に踏めるのです。

お金は、夢の目的ではありませんが、**「挑戦するための命綱(セーフティネット)」**にはなります。

不安がある状態では、新しい一歩は踏み出せません。

まとめ:お金は「ガソリン」、自分資産は「エンジン」

Aさんとの出会いで、私は改めて確信しました。

豊かな老後には、2つの資産が必要です。

  1. 金融資産(お金・不動産): 人生を走らせるための「ガソリン」
  2. 自分資産(スキル・仲間・意欲): どこへでも行ける高性能な「エンジン」

ガソリン(お金)だけあっても、エンジン(やりたいこと)がなければ、車は車庫で錆びつくだけです。

逆に、エンジンがすごくても、ガソリンが空っぽならエンストしてしまいます。

「自分には、まだエンジンを回す情熱があるだろうか?」

もしそう思うなら、まずはガソリン(お金)の不安を完全に消し去りましょう。

「お金のことは大丈夫。さあ、何に挑戦しよう?」

そう言える状態を作るのが、私たちFPの役目です。

Aさんのように目を輝かせるセカンドライフへ。

まずは、あなたの資産の「土台」を一緒に確認しませんか?

 

執筆者紹介

執筆者:塩川 卓司
(CFP® / 宅地建物取引士 / 証券外務員一種 / 相続アドバイザー)
独立系ファイナンシャルプランナー歴15年以上。相談実績500件以上。

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ファイナンシャルプランナー塩川

ファイナンシャルプランナー塩川

・CFP(FP上級資格)・証券外務員1種・宅地建物取引士・NPO法人相続アドバイザー協議会 認定会員・不動産後見アドバイザー(全国住宅産業協会認定)・高齢者住まいアドバイザー(職業技能振興会認定) (独立系FP会社株式会社住まいと保険と資産管理 所属)」https://www.mylifenavi.net/

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