60代の仕事選び、年収で選ぶと後悔する?【実録:180万の差】

目安時間 7分

「定年後、年収が下がっても好きな仕事をするべきか、それとも少しでも稼げる仕事を選ぶべきか…」

60代のセカンドキャリアにおいて、誰もが一度はこの壁にぶつかります。

一般論で言えば「老後資金は1円でも多いほうがいい」となるでしょう。

しかし、FPとして15年以上、50代・60代の方の人生設計の相談に乗っていると、必ずしも**「年収が高い選択」が正解とは限らないケース**に遭遇します。

今回は、実際にあったご相談をベースに、個人が特定できないよう一部設定を変更した**「実録ケーススタディ」**をご紹介します。 (※実例を元にしていますが、個人が特定できないよう数字や設定を調整したモデルケースです

そこにあったのは、「お金」と「自分の人生」の狭間で揺れる、60代特有の葛藤でした。

教科書的な「バランス論」ではなく、現場の数字と決断の記録をご覧ください。

 

「キツいが高収入」か「安いがやりがい」か

先日、60代前半の男性(A様とします)から、再就職先についてのご相談をいただきました。

A様は現在求職中で、手元には2つの選択肢がありました。

【選択肢①:非常勤公務員】

  • 年収: 約330万円
  • A様の所感: 「慣れ親しんだ世界で収入も良い。しかし、精神的にはキツく、ストレスが多い職場環境」

【選択肢②:学童保育のスタッフ】

  • 年収: 約200万円(①より130万円低い)
  • A様の所感: 「子供の相手は体力を使うが、午後勤務で心身ともに気楽。何より子供たちと接することに魅力を感じる」

ここでの迷いは明白です。

「心は②(学童)に惹かれている。でも、65歳までの無年金期間を考えると、少しでも年収が高い①(公務員)を選ぶべきではないか?」

「老後が不安だから、我慢してでも稼ぐべきだ」

この思考は、真面目な方ほど陥りやすい罠です。

3年間で「180万円の差」の正体

ここで、FPとして感情を抜きにして「数字」を見ていきます。

A様の試算では、65歳までの3年間働いた場合、①と②の収入差は単純計算で390万円。

しかし、税金や社会保険料、そして既存のライフプラン(将来の年金受給額など)への影響を精査すると、実質的な手取りの差額は**「3年間で約180万円」**となりました。

さて、ここからが重要です。

**「180万円も減るのか!それは大変だ!」**と思いますか?

私は、A様の100歳までのキャッシュフロー表(ライフプラン)全体に、この「マイナス180万円」を当てはめてシミュレーションを行いました。

その結果、判明した事実は以下の通りです。

  1. 家計は破綻しない: 180万円減っても、資産寿命にはほとんど影響がない。
  2. 調整可能である: 日々の支出の微調整や、運用益で十分にカバーできる範囲である。

月5,000円の差で、あなたは「何」を売りますか?

この「180万円」という数字、一見大金に見えますが、これからの長い老後生活(約30年と仮定)で割ってみてください。

  • 180万円 ÷ 30年 = 年間6万円
  • 年間6万円 ÷ 12ヶ月 = 月額 5,000円

つまり、この選択は**「月5,000円のお小遣いの差」**でしかないのです。

この月5,000円を守るために、あと3年間、毎日ストレスを感じながら「キツい仕事」に耐えるのか。

それとも、月5,000円を使ってもいいから、毎日子供たちと笑い合う「豊かな時間」を買うのか。

こう考えた時、A様の表情が変わりました。

お金・人・健康…「3つの資産」で判定する

セカンドライフを豊かにするためには、**「お金」だけでなく、「人(つながり)」と「健康」**という3つの資産をバランスよく整える必要があります。

今回の選択を、この「3つの資産」の視点で比較してみましょう。

1.お金の資産

確かに「公務員」の方がプラスです。しかし前述の通り、「学童」を選んでも家計破綻はしません。「お金の土台」は、どちらを選んでも守られています。

2.健康の資産

ここが決定的な違いです。

「キツい」と感じる仕事を60代以降も無理に続けることは、ストレスによる健康リスクを高めます。もし病気になって医療費がかさめば、180万円の差など一瞬で消えてしまいます。

一方で、「心身が気楽」と感じる仕事は、**心と体の健康寿命を延ばす「投資」**になります。

3.人の資産

ここも見落とせません。

利害関係のない「子供たち」や「地域の人々」との新しいつながりを持つこと。

これは、退職後に会社という居場所を失い孤立しがちな男性にとって、お金には代えられない**「関係資産(孤独防止)」**となります。

「稼ぐための仕事」から「人生を取り戻す仕事」へ

3つの資産を総合的に判断した結果、私はA様にこうアドバイスしました。

「結論から言います。180万円の差は、A様の人生において『誤差』です。

数字のプロである私が保証します。

50代までは『生活費を稼ぐため』に、我慢して働く必要があったかもしれません。

しかし、これからは違います。

数字上の損得よりも、『本当の自分』を取り戻し、心がワクワクするほうを選んでください」

もし、ワクワクするほうを選んで、将来的に家計が少し厳しくなったとしても、その時は私がついています。

運用商品の見直しや、支出のコントロールで幾らでも調整は可能です。

「何かあったら調整すればいい」という安心感があるからこそ、人は自分の心に従って選ぶことができるのです。

最後に:ライフプランは「背中を押す」ためにある

多くの人は、ライフプランを「節約するための管理簿」だと思っています。

違います。

ライフプランとは、

「ここまではお金を使っていい」

「この選択をしても大丈夫」

と、自分の背中を押すための**「許可証」**なのです。

今回の事例のように、「AかBか迷っているけれど、お金が不安で本音が選べない」という方は、ぜひ一度ご相談ください。

あなたが「我慢」ではなく「自分らしい人生」を選ぶために、私が数字という根拠を使って証明します。

 

 

 

執筆者紹介

執筆者:塩川 卓司
(CFP® / 宅地建物取引士 / 証券外務員一種 / 相続アドバイザー)
独立系ファイナンシャルプランナー歴15年以上。相談実績500件以上。

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ファイナンシャルプランナー塩川

ファイナンシャルプランナー塩川

・CFP(FP上級資格)・証券外務員1種・宅地建物取引士・NPO法人相続アドバイザー協議会 認定会員・不動産後見アドバイザー(全国住宅産業協会認定)・高齢者住まいアドバイザー(職業技能振興会認定) (独立系FP会社株式会社住まいと保険と資産管理 所属)」https://www.mylifenavi.net/

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