「セカンドライフを豊かにする『お金・人・健康』のバランス設計」

目安時間 12分

退職や子育てが一段落する50〜60代は、これからの30年を設計し直す絶好のタイミングです。FPとしての17年・500件超の相談で見えてきたのは、「お金」「人」「健康」の3つを同時に整えることが、安心と充実を両立させる最短ルートだという事実。老後資金は“見える化”で不安を課題に、人間関係は“関係資産”として意識的に育て、健康は“習慣”に落とし込む。この記事では、実例に基づく具体ステップとチェックリストで、今日から始められる実践法をまとめました。まずは小さな一歩から、“自分らしいセカンドライフ”を設計しましょう。

セカンドライフを左右する3つの軸とは?

50代・60代は、仕事や子育てといった「責任の時代」を終え、ようやく自分の時間を取り戻すタイミングです。
しかし一方で、FP相談の現場では次のような声をよく耳にします。

「退職後のお金の計画があいまいで不安」
「友人や職場仲間とのつながりが減って、少し寂しい」
「健康診断の数値が気になるけれど、何から始めればいいか分からない」

こうした不安は、誰にでも訪れる「セカンドライフの壁」です。
けれども、焦る必要はありません。大切なのは、お金・人・健康という3つの軸を「同時にバランスよく整える」ことです。
資産や収入といった“金銭的基盤”を守りつつ、人との関係という“心のつながり”を保ち、そして“健康”という活動の土台を維持する。
この3つの資産がそろって初めて、安心して豊かに暮らせるセカンドライフが実現します。

ライフプランを考えるうえで、どの軸から手をつけるべきか迷う方は、まず人生全体をマクロに見直すことから始めましょう。

参考:具体的な「家族・お金・住まい」の整え方については、
人生後半のライフプラン総合ガイド|50代からの家族・お金・住まいの整え方
で詳しく解説しています。

次章では、この3つの軸のうち最も不安の声が多い「お金の整え方」から、具体的に見ていきましょう。

お金を整える:老後資金の“見える化”と安心の仕組み化

セカンドライフを安心して過ごすうえで、最初に整えたいのが「お金の土台」です。
FP相談の現場でも、50代・60代の方が最も強く感じているのは、“老後資金が足りるのか分からない”という漠然とした不安です。

この不安を解消する第一歩は、「見える化」です。
年金・退職金・貯蓄・投資・保険といった資産の全体像を“一覧化”し、将来の支出と照らし合わせてみましょう。
家計簿アプリやエクセル表を活用すれば、いまの収支や資産寿命を客観的に確認できます。
特に退職後は、医療費・介護費・リフォーム費など「想定外の出費」が増えるため、ゆとりをもった試算が欠かせません。

また、資産を複数の“収入源”に分けることもポイントです。
現金だけでなく、投資信託や個人年金、不動産収入などをバランスよく組み合わせることで、インフレや長寿リスクにも備えられます。
大切なのは“増やす”より“減らさない”設計。
定期的にポートフォリオを見直し、「安心して使える資産」を整えていくことが、豊かなセカンドライフの基盤となります。

なお、老後資金を具体的にシミュレーションする方法については、
年金+資産運用で“毎月いくら使えるか”を見える化する方法
で詳しく紹介しています。

次章では、お金の次に重要な「人とのつながり」――心の豊かさを支える“関係資産”の整え方を解説します。

人を整える:孤独を防ぐ“関係資産”のつくり方

お金の不安が整理されると、多くの方が次に感じるのが「人とのつながり」に関する悩みです。
仕事を離れると、職場中心だった人間関係が一気に減り、孤独感や社会との距離を感じやすくなります。
実際、FP相談でも「退職後に人と話す機会が減った」「家族以外と関わる場がなくなった」という声をよく聞きます。

しかし、人との関係は“心の資産”です。
孤独を防ぐだけでなく、健康にも良い影響を与えることが多くの研究で明らかになっています。
近所づきあいや趣味の仲間、ボランティアや地域活動など、ゆるやかなつながりを複数もつことが、心理的な安定をもたらします。
大切なのは、「助け合える関係を増やすこと」。
利害関係ではなく、共通の関心や価値観を軸にしたつながりを意識して築くことがポイントです。

また、夫婦や家族との関係も、セカンドライフではあらためて見直す時期です。
一緒に過ごす時間が増えるからこそ、「お互いの価値観のすり合わせ」が欠かせません。
感謝の言葉や小さな気遣いを習慣にするだけで、関係の質は大きく変わります。

夫婦の価値観やライフスタイルの再設計については、
夫婦で描くセカンドライフ|価値観・お金・住まいをすり合わせる未来設計の始め方
で実例を交えて解説しています。

次章では、この「人の資産」とも深く関わる、心と体の健康を守る“習慣化のコツ”をお伝えします。

健康を整える:心と体を維持する“3つの習慣”

お金や人間関係が整っていても、健康を損なえばセカンドライフの楽しみは半減します。
健康は“人生の土台資産”であり、どんな夢や計画も心身の安定があってこそ実現できます。
50代・60代からは、「予防」と「維持」を意識した生活習慣づくりが欠かせません。

まず1つ目の習慣は、「体を動かすこと」
ウォーキングやストレッチ、軽い筋トレなど、無理なく続けられる運動を日常に組み込みましょう。
身体を動かすことで血流や代謝が改善し、睡眠やメンタルの質も自然と上がります。

2つ目は、「食を整えること」
塩分・脂質を控え、たんぱく質や野菜中心の食生活を心がけるだけで、生活習慣病の予防につながります。
特に退職後は外食が減る分、家庭での“食のマネジメント”が健康維持の鍵になります。

そして3つ目は、「心のケア」
ストレスを抱えたままにせず、好きな趣味やリラクゼーション法を取り入れて、自分をリセットする時間を持ちましょう。
孤独を感じたときは、人との関わりを意識的に増やすことも有効です。
体と心は密接に連動しており、どちらもバランス良く保つことが健康長寿の秘訣です。

なお、健康や介護リスクを経済的側面から備える方法は
健康・介護リスクに備える資産戦略|人生100年時代の新常識
で詳しく紹介しています。

次章では、「お金」「人」「健康」の3つをどう結びつけて、自分らしいライフプランに落とし込むかを解説します。

3つの資産をつなぐライフプランの作り方

「お金」「人」「健康」という3つの軸は、どれか一つだけを磨いても安定しません。
この3つを“バランスよくつなぐ設計図”こそが、セカンドライフの豊かさを支えるライフプランです。

ライフプランとは単なる家計表ではなく、「これからどう生きたいか」を可視化する人生の地図です。
たとえば、老後資金の計算結果を見て“あと何年働くか”を考え、
家族との時間を大切にしたいなら“働き方を変える”という選択もあります。
健康面では、将来の医療・介護リスクを見据えた資金準備を同時に進めることで、心にも余裕が生まれます。
つまり、お金を基盤に、人と健康を守る行動を計画化することが、ライフプランの本質です。

FP相談の現場では、毎年一度ライフプランを見直すことで、
「気づけば不安より希望が増えた」という方が少なくありません。
数字に基づいた現実的な計画と、日々の生活の満足度を両立させることが、
“安心して笑顔で過ごせる老後”を実現する第一歩なのです。

なお、3つの資産を総合的に整える実践手順については、
人生100年時代の資産管理|お金・不動産・相続を三位一体で考えるポイント
で体系的に紹介しています。

次章では、ここまでの内容を実践につなげるための「行動チェックリスト」をご紹介します。

 

今日から始めるセカンドライフ実践チェックリスト

ライフプランは「考えること」よりも「行動すること」で形になります。
完璧を目指すより、まず一つずつ実践することが大切です。
以下のチェックリストを活用し、“お金・人・健康”を整える日常習慣を少しずつ取り入れていきましょう。

🔹実践チェックリスト

分野 行動内容 期限 実行状況
お金 ライフプラン表を作り、老後資金を見える化する 今月中 □ 済 □ 未
月1回は旧友や家族と会う・連絡を取る 毎月 □ 継続中
健康 週3回のウォーキング+年1回の健康診断を習慣化 2025年内 □ 済 □ 未

 

上記のように、行動を“見える化”すると、進捗が分かりやすく継続のモチベーションにもつながります。
チェック項目を一つずつ実践していくうちに、気づけばライフプランが自然と整い、不安よりも「やってみよう」という前向きな気持ちが生まれます。

 

さらに詳しい実践フレームやテンプレートは、
資産寿命を伸ばす!50代からの資産管理チェックリスト

次章では、この3つの資産をどう調和させ、豊かなセカンドライフを築くかをまとめます。

お金・人・健康の調和が“幸福度の資産”になる

ここまで見てきたように、セカンドライフを豊かに生きるためには、「お金」「人」「健康」の3つをバランスよく整えることが欠かせません。
お金は暮らしを支える“安心の土台”、人とのつながりは“心の支え”、健康は“生きる力”そのものです。
この3つが調和することで、数字では測れない「幸福度の資産」が積み上がっていきます。

FPとして多くのご相談を受けて感じるのは、資産額が多い人ほど幸せとは限らないということです。
むしろ、自分の価値観を理解し、家族や仲間と笑顔で過ごし、健康を維持している方ほど、日々の満足度が高い傾向があります。
つまり、セカンドライフの豊かさは“持っている額”ではなく、“整えているバランス”にあるのです。

今の暮らしを見直し、ライフプランという設計図を年に一度アップデートしていくことで、変化の時代にも安心して進めます。
焦らず、比べず、一歩ずつ。
今日からの小さな行動が、10年後・20年後の大きな安心につながります。

 

具体的に「お金・不動産・相続」を一気通貫で整える方法は、
50代・60代から始める“人生の後半設計図”|お金・不動産・相続をつなぐ資産管理術
で詳しく解説しています。

 

 

 

執筆者紹介

執筆者:塩川 卓司 (CFP® / 宅地建物取引士 / 証券外務員一種 / 相続アドバイザー) 独立系ファイナンシャルプランナー歴17年。相談実績500件以上。
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ファイナンシャルプランナー塩川

ファイナンシャルプランナー塩川

・CFP(FP上級資格)・証券外務員1種・宅地建物取引士・NPO法人相続アドバイザー協議会 認定会員・不動産後見アドバイザー(全国住宅産業協会認定)・高齢者住まいアドバイザー(職業技能振興会認定) (独立系FP会社株式会社住まいと保険と資産管理 所属)」https://www.mylifenavi.net/

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