
「定年後、年収が下がっても好きな仕事をするべきか、それとも少しでも稼げる仕事を選ぶべきか…」
60代のセカンドキャリアにおいて、誰もが一度はこの壁にぶつかります。
一般論で言えば「老後資金は1円でも多いほうがいい」となるでしょう。
しかし、FPとして15年以上、50代・60代の方の人生設計の相談に乗っていると、必ずしも**「年収が高い選択」が正解とは限らないケース**に遭遇します。
今回は、実際にあったご相談をベースに、個人が特定できないよう一部設定を変更した**「実録ケーススタディ」**をご紹介します。 (※実例を元にしていますが、個人が特定できないよう数字や設定を調整したモデルケースです)
そこにあったのは、「お金」と「自分の人生」の狭間で揺れる、60代特有の葛藤でした。
教科書的な「バランス論」ではなく、現場の数字と決断の記録をご覧ください。
目次
先日、60代前半の男性(A様とします)から、再就職先についてのご相談をいただきました。
A様は現在求職中で、手元には2つの選択肢がありました。
ここでの迷いは明白です。
「心は②(学童)に惹かれている。でも、65歳までの無年金期間を考えると、少しでも年収が高い①(公務員)を選ぶべきではないか?」
「老後が不安だから、我慢してでも稼ぐべきだ」
この思考は、真面目な方ほど陥りやすい罠です。
ここで、FPとして感情を抜きにして「数字」を見ていきます。
A様の試算では、65歳までの3年間働いた場合、①と②の収入差は単純計算で390万円。
しかし、税金や社会保険料、そして既存のライフプラン(将来の年金受給額など)への影響を精査すると、実質的な手取りの差額は**「3年間で約180万円」**となりました。
さて、ここからが重要です。
**「180万円も減るのか!それは大変だ!」**と思いますか?
私は、A様の100歳までのキャッシュフロー表(ライフプラン)全体に、この「マイナス180万円」を当てはめてシミュレーションを行いました。
その結果、判明した事実は以下の通りです。
この「180万円」という数字、一見大金に見えますが、これからの長い老後生活(約30年と仮定)で割ってみてください。
つまり、この選択は**「月5,000円のお小遣いの差」**でしかないのです。
この月5,000円を守るために、あと3年間、毎日ストレスを感じながら「キツい仕事」に耐えるのか。
それとも、月5,000円を使ってもいいから、毎日子供たちと笑い合う「豊かな時間」を買うのか。
こう考えた時、A様の表情が変わりました。
セカンドライフを豊かにするためには、**「お金」だけでなく、「人(つながり)」と「健康」**という3つの資産をバランスよく整える必要があります。
今回の選択を、この「3つの資産」の視点で比較してみましょう。
確かに「公務員」の方がプラスです。しかし前述の通り、「学童」を選んでも家計破綻はしません。「お金の土台」は、どちらを選んでも守られています。
ここが決定的な違いです。
「キツい」と感じる仕事を60代以降も無理に続けることは、ストレスによる健康リスクを高めます。もし病気になって医療費がかさめば、180万円の差など一瞬で消えてしまいます。
一方で、「心身が気楽」と感じる仕事は、**心と体の健康寿命を延ばす「投資」**になります。
ここも見落とせません。
利害関係のない「子供たち」や「地域の人々」との新しいつながりを持つこと。
これは、退職後に会社という居場所を失い孤立しがちな男性にとって、お金には代えられない**「関係資産(孤独防止)」**となります。
3つの資産を総合的に判断した結果、私はA様にこうアドバイスしました。
「結論から言います。180万円の差は、A様の人生において『誤差』です。
数字のプロである私が保証します。
50代までは『生活費を稼ぐため』に、我慢して働く必要があったかもしれません。
しかし、これからは違います。
数字上の損得よりも、『本当の自分』を取り戻し、心がワクワクするほうを選んでください」
もし、ワクワクするほうを選んで、将来的に家計が少し厳しくなったとしても、その時は私がついています。
運用商品の見直しや、支出のコントロールで幾らでも調整は可能です。
「何かあったら調整すればいい」という安心感があるからこそ、人は自分の心に従って選ぶことができるのです。
多くの人は、ライフプランを「節約するための管理簿」だと思っています。
違います。
ライフプランとは、
「ここまではお金を使っていい」
「この選択をしても大丈夫」
と、自分の背中を押すための**「許可証」**なのです。
今回の事例のように、「AかBか迷っているけれど、お金が不安で本音が選べない」という方は、ぜひ一度ご相談ください。
あなたが「我慢」ではなく「自分らしい人生」を選ぶために、私が数字という根拠を使って証明します。
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ファイナンシャルプランナー塩川
・CFP(FP上級資格)・証券外務員1種・宅地建物取引士・NPO法人相続アドバイザー協議会 認定会員・不動産後見アドバイザー(全国住宅産業協会認定)・高齢者住まいアドバイザー(職業技能振興会認定) (独立系FP会社株式会社住まいと保険と資産管理 所属)」https://www.mylifenavi.net/
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