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相続対策は時間軸とライフプランで考える!人生100年時代の“失敗しない相続設計”とは

目安時間 19分

相続対策というと「節税」や「贈与」など、目の前の対策に意識が向きがちです。
しかし、実際に成功する相続対策とは「人生全体を見通した計画」であり、ライフプランと時間軸を意識することが欠かせません。

 

本記事では、
人生の資産管理を「資産形成期 → 資産運用期 → 資産保全期 → 資産承継期」という4つの局面に分け、それぞれのステージでどのように相続対策を進めていけば良いかを専門家がわかりやすく解説します。

 

相続対策を「ライフプラン」と「時間軸」で考える理由

相続対策というと、多くの方が「相続税を減らす」「生前贈与を活用する」といった節税中心の発想に陥りがちです。
しかし、実際には節税だけを目的に行動してしまうと、家族間での不公平感が生じたり、老後資金が不足したりと、思わぬ失敗につながるケースが少なくありません。

 

本来の相続対策とは、家族の幸せを守るための“人生設計”の一部です。
「今どうするか」だけでなく、「いつ、どの段階で、何をするか」を考えることで、税金対策だけではなく、生活の安定・資産の保全・家族の関係維持まで見据えた総合的な相続計画が実現します。

 

人生には、お金の流れや目的が変わる「資産管理の局面」があります。
それが
資産形成期 → 資産運用期 → 資産保全期 → 資産承継期
という4つのステージです。

各ステージでの判断や準備の仕方を間違えると、せっかく築いた財産が次世代に正しく引き継がれないこともあります。
たとえば、早すぎる贈与で老後資金が足りなくなったり、不動産の整理を後回しにして“負動産”を相続させてしまうことも。

だからこそ、相続対策は「時間軸」で捉えることが大切です。

20代・30代は資産を築く準備期、40代・50代はライフプランを具体化する実行期、60代以降は守りと承継のフェーズ。
それぞれの時期に合わせて、ライフプランと相続計画を連動させることで、長期的にブレない対策を続けることができます。

このように、相続対策をライフプランと時間軸の両面で考えることが、「節税」だけに偏らず、「家族の幸せ」「資産の継続性」「安心した老後」をすべて両立させる鍵となります。

 

資産形成期・資産運用期(20代~60代)|基礎を築く相続準備

資産形成期から運用期にかけては、働いて得た収入の一部を貯蓄や投資に回し、将来の安心を支える土台を築く時期です。
この段階では、相続のことを意識する人はまだ少ないかもしれません。
しかし、ここでの考え方と行動こそが、後の「相続のしやすさ」「財産の守りやすさ」を左右します。

 

まず重要なのは、ライフプランを描くことです。
結婚、住宅購入、子どもの教育、退職、老後といったライフイベントごとに、「いつまでに」「どのくらいの資産を」「どんな形で」準備するのかを明確にします。
ライフプランを可視化することで、日々の家計管理や資産形成の目的が明確になり、「何のために貯めるのか」がブレずに続けられます。

 

次に、ライフプランをもとにした資産運用計画を立てます。
例えば、

  • 運用に回せる金額はいくらか
  • どの程度のリスクを許容できるか
  • 株式・債券・不動産など、どの資産にどの割合で配分するか(ポートフォリオ)
    といった設計が必要です。

この時期は、将来の相続を意識して、「価値のある資産」を育てる視点も大切です。
たとえば、不動産を購入する際には立地・将来価値・相続税評価額などを考慮し、長期的に保有しても価値を保てる資産を選びましょう。

 

また、**定期的な運用の見直し(リバランス)**も欠かせません。
半年〜1年ごとにポートフォリオを確認し、市場環境やライフステージの変化に応じて調整していくことが、長期的な資産形成とリスク管理の鍵になります。

 

不動産についても同様に、価値が維持されているか、賃貸需要があるか、管理状態はどうかなど、定期的にチェックしておくことで、後に「相続しやすい資産」に変わっていきます。

資産形成期は、いわば「財産の土台をつくる時期」。
ここで築いた基盤が、将来の相続対策をスムーズに進める最大の力になります。
節税や贈与などのテクニックに走るよりも、まずはライフプランに沿った資産形成の軸を固めること
それが、後の「守り」「承継」へとつながる最初の一歩なのです。

 

※資産形成の段階で「何に・どのように」資産を配分すべきかは、老後の安心を左右します。
→ 詳しくは、【完全版】50代・60代の資産管理ガイド|資産寿命を延ばすための総合戦略 を参考にしてみてください。

 

資産保全期(60代~70代前後)|守りと引き継ぎの準備段階

60代から70代にかけては、現役を離れ、長年築いてきた資産を「どう守り、どう次世代につなぐか」を考える時期に入ります。
この段階では、運用の目的が“増やす”から“減らさない”へとシフトし、リスク管理と資産の最適化がテーマとなります。

まず意識すべきは、**「インフレ率に負けない資産管理」**です。
銀行預金だけでは実質的な資産価値が目減りしてしまうため、安定した利回りを確保できる金融商品や分散投資を活用し、資産全体のバランスを整えておくことが大切です。

 

次に考えたいのが、相続税評価の圧縮と財産の見直しです。
現金や預貯金は評価額=相続税課税額となるため、現金の一部を不動産や保険などに転換することで、相続税評価を下げることが可能です。ただし、節税を目的とした過度な投資はリスクを伴うため、「老後生活に必要な資金を確保した上で行う」ことが前提になります。

 

また、この時期は生前贈与を計画的に進める好機でもあります。
年間110万円の暦年贈与や、相続時精算課税制度などを活用することで、少しずつ財産を移転しながら、次世代の資産形成をサポートできます。贈与は単なる節税手段ではなく、家族に資産を引き継ぐ“教育の機会”と捉えると良いでしょう。

 

一方で、資産の内容が多様化している人ほど、「どの財産を残し、どの財産を整理するか」を判断する必要があります。
不動産を複数保有している場合は、利用していない土地や老朽化した物件を整理し、価値ある不動産を“承継しやすい形”に整えることも重要です。

 

この時期に行う資産の棚卸しと見直しは、次の「資産承継期」にスムーズに移行するための準備となります。
守りを意識した資産運用と、家族への生前贈与を組み合わせることで、「自分の老後を安心して過ごしながら、次世代の幸せを支える」理想的なバランスが実現できます。

 

資産承継期(65歳~75歳)|想いと財産を形に残す段階

65歳を過ぎる頃からは、資産を守る段階から「誰に・どのように引き継ぐか」を明確にしていく資産承継期に入ります。
この時期は、財産の棚卸しと整理、そして次世代への引き継ぎ方法を“形にする”ことが大切です。

 

まず取り組みたいのは、現状の資産を正確に把握することです。
金融資産、不動産、保険、株式など、全ての資産を一覧化し、評価額・所有名義・流動性を整理します。
これをもとに、「どの資産を残すか」「どの資産を整理・組み換えるか」を判断していきます。

特に不動産については、将来の相続を見据えた市場価値の分析と再構築が欠かせません。
使っていない土地や老朽化した建物は、相続後に管理負担や税金の重荷となることがあります。
必要に応じて、売却・建て替え・収益化などの選択肢を検討し、「次世代が維持・管理しやすい形」に整えておくことがポイントです。

 

一方で、金融資産については引き続きインフレに負けない運用を続けながらも、安全性・流動性を重視し、必要時にすぐ使えるような構成にしておくと安心です。
この段階では大きなリスクを取る必要はなく、資産を減らさず、計画的に承継していくバランスを取ることが大切です。

そして、承継方法の中心となるのが**「遺言書」と「家族信託」**です。
遺言書は、あなたの意思を法的に明確に残すための最も基本的な手段です。
「誰に」「どの財産を」「どんな形で」託すのかを、具体的に記載しておくことで、相続人同士のトラブル(いわゆる“争族”)を防ぐことができます。

また、認知症や判断能力の低下が心配な場合は、家族信託を活用して財産管理を信頼できる家族に任せる方法も検討しましょう。

加えて、相続税が発生する見込みがある場合は、納税資金の準備も重要です。
相続財産が不動産中心で現金が少ないと、納税のために急いで売却しなければならないケースもあります。
生命保険や流動性の高い資産を活用して、計画的に納税資金を確保しておくことが望ましいでしょう。

また、生前贈与を行う際は、自身の**セカンドライフの資金計画(ライフプラン)**を確認してから実行することが大切です。
自分の生活資金を確保したうえで、余裕資産の範囲内で贈与を行えば、税負担を抑えつつ、無理のない形で次世代への承継が実現します。

 

資産承継期は、単なる相続準備の終盤ではなく、「自分の想いを家族に伝え、形にする」最も重要な時期です。
財産の価値だけでなく、そこに込めた想いや経験を次の世代に残すことこそ、本当の意味での“幸せな相続”といえるでしょう。

 

不動産対策は「時間軸」で考えるのが鉄則

相続財産の中でも、不動産は最も大きな割合を占める資産です。
一方で、現金とは違い「すぐに分けられない」「換金しづらい」「価値が変動する」という特性を持っています。
そのため、不動産対策を成功させるには、時間軸を意識して計画的に進めることが不可欠です。

まず理解しておきたいのは、不動産の価値は永遠に一定ではないということです。

建物は年数とともに老朽化し、立地や周辺環境、人口動態、経済状況によって評価額が変化します。
かつて高く評価されていた土地でも、今では半分近い価値に下落しているケースも少なくありません。

特に、人口減少や空き家問題が進む地方では、「持っているだけで負担になる“負動産”」が増加しています。

 

一方で、利便性の高い立地や再開発地域など、一部の不動産は価値を維持・上昇させる可能性があります。
また、建物の状態が古くても、収益化できる不動産(貸し出しや駐車場活用など)であれば、評価以上の実質的価値を生み出すこともあります。

 

このように、不動産は「所有して終わり」ではなく、市場環境に合わせて定期的に分析・判断・行動する資産です。
そのため、相続対策では以下の4分類で整理すると、方針を立てやすくなります。

  1. 優良・守る不動産
    立地・収益・市場価値のいずれも高く、長期的に保有する価値がある資産。
  2. 資本改善する不動産
    老朽化した建物をリノベーションや建て替えで価値を再生させるタイプ。
  3. 収益改善する不動産
    更地を駐車場やアパートにするなど、収益性を高める活用型の資産。
  4. 整理・組み換えする不動産
    今後の維持が難しい場合に売却し、他の有望な不動産や金融資産に組み替える。

これらの分類をもとに、早い段階から不動産を整理・再構築しておくことで、相続時に慌てることなく、スムーズに資産を承継できるようになります。特に不動産は、評価額の変動や市場の流動性が低いため、**「早く・慎重に・計画的に」**動くことが最大のポイントです。時間に余裕があるうちに売却・活用・組み換えを進めておけば、節税効果を高めながらも、次世代に価値ある形で財産を残すことができます。

 

不動産対策は、単に「売る」「保つ」という二択ではありません。「その資産が将来どんな価値を持つのか」「次の世代がどう活かせるのか」まで考えてこそ、真の意味での相続準備といえるでしょう。

 

※不動産を上手に活かせば、節税と資産保全の両立が可能です。
→ 詳しくは、【保存版】不動産でできる相続税対策8選|購入・小規模宅地特例・小口化まで網羅 をご覧ください。

 

贈与と不動産対策は「早く・慎重に・計画的に」

相続対策で多くの人が関心を持つテーマが、「贈与」と「不動産対策」です。

 

相続対策を成功させるには、早すぎず遅すぎない“適切なタイミング”が重要です。
→ 具体的な進め方は、親が元気なうちに始める「相続対策」5ステップ で詳しく解説しています。

この2つは相続税を抑え、円滑な資産承継を進めるうえで非常に効果的な手段ですが、同時に“タイミング”を誤るとトラブルや後悔につながることもあります。

 

まず、早めの実行には大きなメリットがあります。たとえば、生前贈与は時間をかけて少しずつ行うことで、贈与税の非課税枠(年間110万円)を活用しながら、最終的な相続財産を減らすことができます。

また、早い時期に贈与を始めるほど、贈与税の累積負担が軽くなり、資産をより有利な形で次世代に移転できるのです。

不動産に関しても、早い段階での対策は効果が大きくなります。

たとえば、評価額が高い時期に贈与すると多額の税負担がかかりますが、市場の動向や評価タイミングを見極めることで、より低い評価額での承継が可能になる場合もあります。また、早めに不動産の整理・活用方針を決めておけば、納税資金の確保や相続人同士のトラブル防止にもつながります。

 

ただし、ここで重要なのは、「早ければ早いほど良い」わけではないという点です。贈与を急ぐあまり、自身のセカンドライフの資金計画が崩れてしまっては本末転倒です。特に退職後の生活費や医療費・介護費など、将来の支出をしっかり試算し、「自分の生活を守りながら贈与できる金額」を見極めることが欠かせません。さらに、不動産の価値は時間とともに変化します。将来的に市場価格が上昇するエリアもあれば、下落傾向が続く地域もあります。また、建物の老朽化や空室率の上昇など、維持管理コストが思わぬ負担になるケースもあります。したがって、不動産を「今すぐ贈与するか」「もう少し保有するか」の判断は、市場分析とライフプランの両面から慎重に行うことが大切です。

 

最後に忘れてはならないのが、家族間のコミュニケーションです。相続・贈与の意図や目的を事前に家族で共有しておくことで、
「なぜこのような分け方にしたのか」という誤解や不満を防ぐことができます。早い段階で“家族会議”を開き、想いを言葉にして伝えることが、円満な相続の第一歩になるのです。

 

贈与も不動産対策も、焦らず・無理せず・計画的に進めること。それが、税負担を抑えながらも、自分と家族の未来を守る最善の方法です。

 

 

(まとめ):ライフプラン×時間軸で考える「一生涯の相続対策」

相続対策というと、「相続税を減らすにはどうすればいいか」「遺言書を作るべきか」といったテクニカルな話題が先に浮かびがちです。

しかし、本当に大切なのは、“人生全体を見通した設計”の中で相続を考えることです。人の一生には、資産を「つくる」「育てる」「守る」「引き継ぐ」という流れがあります。それぞれのステージでやるべきこと、考えるべき視点は違います。
若い時期はライフプランを描いて資産を形成し、中年期にはその資産を運用しながらリスクを管理し、シニア期には守りを重視しつつ、次の世代へ“想いとともに”渡していく。この流れを「時間軸」で見ておくことで、節税や贈与などの個別の対策をバラバラに行うのではなく、一貫した方針のもとで無理のない相続設計を進めることができます。

 

特に、不動産や金融資産を多く持つ方ほど、“今ある資産をどう次世代に残すか”という視点に偏りがちですが、本来の目的は「家族全体の幸せをつなぐこと」にあります。そのためには、財産の分け方よりも先に、自分がどんな生き方をしたいか、家族にどんな想いを残したいかを明確にすることが大切です。

 

また、相続は一度準備して終わりではなく、ライフステージの変化に合わせて**定期的に見直す“長期プロジェクト”**と捉えるべきものです。法律や税制も変わり、資産の価値も動く時代だからこそ、定期的な確認と調整を重ねることが「争族を防ぐ最良の方法」になります。つまり、相続対策とは、老後の資産管理と未来の家族計画をつなぐ“架け橋”です。ライフプランに基づき、時間軸を意識して、早く・慎重に・計画的に行動することで、あなた自身も、そして次の世代も、安心して豊かに暮らしていける“幸せな相続”が実現します。

 

執筆者紹介

執筆者:塩川 卓司 (CFP® / 宅地建物取引士 / 証券外務員一種 / 相続アドバイザー) 独立系ファイナンシャルプランナー歴17年。相談実績500件以上。

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ファイナンシャルプランナー塩川

ファイナンシャルプランナー塩川

・CFP(FP上級資格)・証券外務員1種・宅地建物取引士・NPO法人相続アドバイザー協議会 認定会員・不動産後見アドバイザー(全国住宅産業協会認定)・高齢者住まいアドバイザー(職業技能振興会認定) (独立系FP会社株式会社住まいと保険と資産管理 所属)」https://www.mylifenavi.net/